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 今月の赤木さん

粘菌の不思議な世界


        然とか環境とか最近かけ声は大きいようですが、地球には資源を独り占めにしている人間の他にも、様々な生物が独自のライフスタイルを持ってひっそりと生きていることを忘れがちです。野鳥、蝶、野生ランなど多くの人を引きつける、言ってみればメジャーな生物もありますが、われわれ一般の人間には生態はおろか名前も知られていない個性的な生物も数多く存在します。
         様々な自然環境や他の生物との関係で、長い時間をかけて分化してきた生物の多様性には本当に驚かされますが、そんな不思議な生物の一つに魅せられ地道に研究をしている人々も少数派ながらいますので、今回はそういったサイトを探訪してみましょう。

        菌」とは実に不思議な生き物です。変形菌ともいい栄養環境などに応じて単細胞で生活したり、集合体として一つの多細胞動物のように振る舞ったり、植物なのか動物なのかの分類さえ難しい本当に変わったヤツで、多細胞生物の成り立ちについても大いに考えさせてくれます。蟻のような社会的システムでの協同ではなく、一個の有機体としてこともなげに変形してしまうのが凄いところです。
         <粘菌ホームページ>は宇都宮大学のページで、粘菌の基礎知識や、粘菌が劇的に姿を変形する連続写真など、興味深い内容です。連続写真はわずかな時間でまったく別物になってしまう妙技を見ることができます。
         実は上野の国立科学博物館で、2月初旬まで<森の魔術師−変形菌(粘菌)の世界>という特別展示をやっていたので絶対に行こうと思いつつ果たせませんでした。でも国立科学博物館のページにバーチャル展示してあるので、展示の概要を見ることができます。とてもわかりやすく会場を案内してくれます。こういう展示は特に地方の人にありがたいですね。

        Plasmodiophorid Home Page>はオハイオ大学のページで、紹介している種や写真の種類も豊富です。粘菌は森の朽木の上や枯れ葉の裏とか、その気になれば採集も可能らしいので、ペットとして生態を観察するのも面白いかも..
         それから蛇足ながら南方熊楠は粘菌の研究で世界的に有名ですが、この人は人間としても破格な人なので関連の本を読んでみると面白いと思います。何百冊という本を丸暗記してしまうという人間離れした記憶力は博物学にはもってこいの天才です。

        水鉱床は海底に湧き出す温泉のようなものですが、もともと鉱物資源の調査目的で深海探査船で調べたところ、高圧(数百気圧)、高温(水圧がすごいので数百℃ある)、暗黒で栄養源がきわめて乏しいというきわめて厳しい環境下で、熱水の中に含まれる硫化物を餌にするバクテリアを起点として、数種類の生物達によって閉鎖された生物系(食物連鎖)ができあがっているんだそうです。中でも驚くのがチューブワームで、その姿は人間の想像を超えます。これらのコロニーは熱水噴気口ごく近傍だけで、他は全くの死の世界だそうですが、最初はよくたどり着いたものです。
         <Exploring the deep ocean floor>はアメリカ地質探査所のページで、熱水鉱床周辺の深海生物が紹介されています。最初にこれらを発見した深海調査船アルヴィン号だけでなく日本のしんかい6500の写真も載ってました。

        洋生物のサイトをもう一つ。<MBL Marine Species Index>はアメリカの海洋生物研究所のページで、海洋無脊椎動物を中心に紹介しているオンライン図鑑です。名前を見ても知らない名前ばかりですが、適当にクリックすれば海綿やクラゲ、その他日本語でも知らないような生き物達が現れます。流氷の下に棲息するクリオネや、クラゲの赤ちゃんなどはテレビでも有名になったし、最近では自宅の水槽にクラゲを飼う人も増えているそうで、この中に新しいスターがいるかも知れませんね。