井上優

 夏休みで日本に帰国している家族から、「日本の方がずっとムシムシしていて暑いよ〜」なんて電話がかかってきた。乾期も終わりに近づくマレーシアの8、9月は朝夕涼しく、日中も晴天が続く日が少ないので、日本の「夏」よりも確かに過ごしやすい。私もこの原稿を打ち上げた後、4年ぶりの「日本の夏」を楽しみに帰国の途に着く。

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◆◆今月の井上さん〜 マレーシアの夏を食べよう◆◆

こ数年マレーシアを訪れる日本からの観光客が着実に増えている様に思える。人気のランカウイ、ティオマン、レダン等の島々を絡め、ペナン、クアラルンプールで『食』を楽しむという"アジア派"が、近隣のタイ、シンガポールに引けを取らなくなってきているようだ。
 自分の周りを見渡しても、7月頃から夏休みを利用してやってくる友人、知人が後を絶たない。残念ながら、私の住む首都クアラルンプールには観光名所と言える所が少ないため、もっぱら美味しいものをたらふく食べていただく事に徹している。

レーシアの人口比率は、約60%がマレー人、30%が中華系、5%がインド系、残りがタイ、バングラデシ系等で構成されている。いわゆる多民族国家であるが故に、その料理の楽しみ方も奥が深い。首都圏にはその人口比率以上に中華系が集中しているために、中華レストランが圧倒的に多いが、単に中華と言っても彼ら中華系マレーシア人の『生い立ち』によって様々に分かれるおかげで、広東料理、潮州料理、福建料理、四川料理とあらゆる中華料理を存分に楽しむことができる。インド料理にしても然りで、インド人が自分達の日常の為に作る料理がうまくないわけがない。タイ料理にしてもお隣だけに推して知るべしで、マレー料理は言うに及ばずといったところでしょうか。
 『マレーシア料理』というのは、これら各国の料理にマレーシア独自のテーストをちょっぴり加えたものの総称であり、『マレー料理』と呼ばれるのは”焼き鳥”でお馴染みの「サティ」や牛肉をスパイシーに煮込んだ「ビーフレンダン」、マレー人の定番朝食「ナシレマ」等の昔ながらの『土地の子』の料理を言う。
 「マレーシアは飢えを知らない」とよく言われる。海、河川には魚が豊富で、陸にはバナナ、ココヤシが生い茂っている。都会からちょっと離れた『カンポン』と呼ばれる村落では自給自足が十分可能なわけで、そういった背景の上にたった食文化だけに食材が極めて安い。故にマレーシア料理はバラエティーが豊かなだけでなく、値段もとことん安く、B級グルメ派には天国と言える国だろう。

 『マレーシア料理』の原点と言えるのは『コーヒーショップ』。日本人の概念にある"可愛い喫茶店"とは全く違うもので、マレーシア独特の飲食施設のことをいう。分かりやすく言えば、好きなものをお好みで食べられる"大衆食堂"のようなもので、店構えはオープンハウスながらも屋根があるりっぱな建物の中にあるので"屋台"とは違う。『コーヒーショップ』には必ず"大家さん"がいて、テーブル、椅子等のファシリティを店内に整える。そして、食事をするお客達の飲み物全般をまかなうのが"大家さん"の仕事となる。料理はそれぞれの"店子"達が得意の料理をサーブする。『コーヒーショップ』には大体10件程の"店子"がいて、チキンライス、麺類、マレー料理、中華料理など様々な『マレーシア料理』を提供している。客はそれぞれの店に行って食べたいものをオーダーし、テーブルに給仕されるのを待ったうえで個別精算する。一時日本でも流行した『屋台村』のスタイルと言えば分かりやすいかな。"大家さん"の収入は飲み物の売り上げと"店子"からの家賃で、つまり、"大家さん"の家業はと言えば、"飲み物屋さん"、そう『コーヒーショップ』というわけだ。
 そして『コーヒーショップ』の中にある特定の人気のお店目当てに客は来るので、麺類を食べるならあそこ、チキンライスならあっちの『コーヒーショップ』という具合に客がついていくようになる。人気があるところは味も正直で、どんなに洒落たホテルのレストランよりも間違いなく美味しい。そして格段に安い。
 イメージがちょっとわかないという方は、手前味噌ながら「JalanJalan」の<ローカル・ダイニング>のページを覗いていただくと雰囲気がわかるかも。実際に日本で『マレーシア料理』に触れてみたいという方は、<東京の食べ方・エスニック>で美味しいお店、体験談を紹介しているので覗いてみてください。ここで紹介されているお店は、実際にマレーシアで"本物"を食した方が納得するようなお店ばかりのようなので、是非お試しください。

 『マレーシア料理』についてはまた後日触れるとして、この時期にマレーシアでは欠かせない旬な話題に移りましょう。
 マレーシアの"食の売り"としてもう一つ挙げられるのが、日本では食べられない豊富な『トロピカルフルーツ』の数々。その代表選手が"果物の王様"、また"果物の魔王"などと言われているマレーシア原産の果物『ドリアン』。7月頃から市場に出始めるドリアンも今がシーズンの終盤戦。「見るのもいやだ」という人と、季節になると「じっとしていられない」という"ドリキチ"とにはっきり分かれるらしいが、私自身がすっかりハマった派なので、この時期にマレーシアを訪れる客人達には必ず挑戦させてしまう。いやがっても無理矢理に引っ張っていく。(笑) やはり当たり外れがあるので自ら吟味の上、本当にうまいものを勧めるようにしている。それでも、初めて食べる人の5人に一人が「うまい!」と言えばいい方かも。でも本当にマレーシアのドリアンは美味しいですよ〜。
 <Durian Online>を見ていただくと『ドリアン』の全てがほぼ理解できるでしょう。実際にハマってしまった方をご覧になりたければ、<ミケパパのカフェ・アジア>が面白いですね。写真入りで詳しく出てますよ。ドリアンだけでなく、ジャックフルーツ、スターフルーツ、ランブータン等のマレーシア独特の果物も解説されています。
 マレーシアのドリアンは30m程の高さの大木からドサッと落ちてきた実を拾って出荷するのですが、落ちたての熟れたドリアンほど美味しいものはないと言われています。  つい先日、街に出回るものを待ちきれないドリキチ仲間達と「カンポン・ガジャー」という、KLから北に200km程行ったところの『ドリアン村』まで、その『逸品』を食べに行って来た。野生のままに群生したドリアンの林の中には、『ランサック』、『マンゴスチン』、『カカオ』、『ライム』等が合間を縫うように生えており、さながら南洋植物園の様相を呈している。幼い頃に柿をもいで食べたように、それらの『トロピカル・フルーツ』を木からもいでは口に運んでいると、「マレーシアにいるんだな〜」と改めて実感してしまったりして。今年はやや不作と言われながらも、落ちたてのドリアンを自分で拾い、その濃厚な香り(匂い?)と共に甘い果肉を口に頬ばれば、その『至高の味』に幸せいっぱいとなってしまう。過去に一度食して「もういやだ〜」と言っていた友人にも、今回は「あれっ、美味しいかもしれない」と言わせてしまった。そんなもんなんです。最高のドリアンと、自然のままに実をつける果物達、そしてカンポンの暖かい人達とのふれ合いに大満足の一日でした。

もなくドリアンの季節も終わりを告げますが、また来年までのお楽しみとしておきましょう。「是非、美味しいドリアンにトライしてみたい!」という方、来年の7、8月頃にマレーシアにお越し下さい。最高の逸品をご馳走しますよ。美味しい果物とマレーシア料理、それがここの一番の『売り』ですからね。

今回アクセスしたページ


Jalan Jalan
(http://www.junmas.com/index.html)
東京の食べ方・エスニック
(http://www.big.or.jp/~takubo/gourmand.html)
Durian Online
(http://www.ecst.csuchico.edu/~durian/)
ミケパパのカフェ・アジア
(http://www.nsknet.or.jp/~tsunetom/index.htm)


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