WebMag logo

 今月の金子さん

検索エンジンの「変」な使い方


        回はインターネットの名所旧跡めぐりのようになってしまいましたが、こういう歴史ツアーのようなものも、なかなか楽しいものです。

        ンピュータ(特にパソコン)やインターネットの歴史のユニークな点は、その重要な出来事のほとんどが、ここ数十年という短い間に起こっていて、それゆえそこに登場するいわゆる「歴史上の人物」が今も生きていて、ちゃんと仕事をしていたりする、という点だろうと思います。ここでは、他の分野の何十倍、何百倍もの速度で歴史の変化が起こっているわけで、その変化のプロセスを観察するには非常にいい、歴史家にとっても魅力的な場ではないでしょうか。
         歴史を知ることは現代を相対化して見る視点を与えてくれるものですが、これはコンピュータやインターネットについても同様だと思います。パーソナル・コンピュータという、今となってはごくあたりまえのように存在しているものも、実際には特定の地域や時代の状況の中で生まれてきたものである以上、それを生み出した社会の価値観を担った特殊な道具にすぎないといえます。あまりにも普及しているので、あたかも普遍性・必然性を持っているもののように思ってしまいますが、実際は一部の人たちにとって使いやすいだけであって、それ以外の人は我慢してそれに自分を合わせている、というのが本当のところではないでしょうか。
         そんなふうに、パソコンって何だろうと考えるうえでも、その歴史を知ることはとても有効なことだと思います。興味がある人には、ロバート・X・クリンジリー著、薮暁彦訳『コンピュータ帝国の興亡』(アスキー、1994年)の一読をぜひお勧めします。著者のクリンジリーさんの「いかにも!」なホームページ「Welcome to I,Cringely」も併せてご覧ください。

        の本の中でクリンジリーさんが強調していることの一つが、アプリケーションの重要性ということです。どんなに優れたハードウェアでも、それに載るソフトウェアのアプリケーションが魅力的でなければ、社会に受け入れられない。実際、その点が欠けていたことによって消えていった製品は枚挙にいとまがないということです。「アプリケーション」は直訳すれば「適用、応用、実用」というような意味ですが、結局のところ「それを使ったら何ができるか」ということにほかなりません。

        ンターネットやWWW、検索エンジンといったものについても、同じようなことが言えるのではないかと思います。これらの「道具」を使って何ができるのか。お目当てのホームページを探すという本来の使い方以外に、何か別の使い方ができないものかと頭をひねっています。
         例えば、おなじみ「InfoNavigator」「地域別 WWWサーバ一覧」というのがあります。これで、すべての都道府県を開いて、それぞれのサーバ情報の件数を見るという、普通の人はやらないような不毛な作業をしてみると、6月20日の状況では、最も多いのが東京(14,933件)、次いで大阪(3,660件)、神奈川(3,058件)、愛知(2,017件)、埼玉(1,512件)の順となっています。少ないほうでは、鹿児島(133件)、長崎(130件)、宮崎(121件)、島根(91件)、佐賀(67件)となっています。やはり東京への集中度が高いことや、逆に九州地方が全体的に少ないということもわかります。さまざまな検索エンジンで同様のことをやって、比較してみたらどんな結果がでるのか、興味がひかれます。「地方からの情報発信」とよく言われますが、それについて考えるきっかけの一つになりそうです。

        た、同じく「InfoNavigator」で、「男性」というキーワードで検索すると256件しかなかったのに、「女性」というキーワードでは1,355件ものサーバ情報が出てきます。この差はいったい何なのでしょうか。さまざまな対語で検索することで、ネット文化の特性が見えてきそうです。
         「高齢者」「老人」「お年寄り」。ほぼ同じ意味の3つの言葉を検索すると、「高齢者」が109件、「老人」が106件、「お年寄り」が36件でした。また、同じ「コドモ」という言葉であっても、「子供」で検索すると793件、「子ども」は282件、「こども」は154件でした。このように、ネット上で今どんな言葉が使われているのか、それを調べることができるとすれば、国語学者ならずとも、さまざまなアイデアの手掛かりが得られるように思います。

        索エンジンの「変な」使い方、あったらぜひ教えてください。