金子伸二

 街を歩いていると、いろいろと気になる現象を発見する。最近の関心は「プリンの3個パック」だ。スーパーで売られているプリンやヨーグルト、ゼリーの類は、なぜか3個1パックのものが多い。ところが、これではパパ・ママ・子供2人という構成の家族にとっては中途半端な数になってしまう。そういえば、他にも納豆、やきそば麺など、3個1パックの商品は数多い。3という数字になにか意味があるのだろうか。それともパパには内緒でプリンを食べるのだろうか。しかし、ダ○ンのヨーグルトは4個1パックだし……。謎は尽きない。

◆◆今月の金子さん〜マンションの名前◆◆

3月といえば全国的に引っ越しのシーズン。入学・卒業や就職・転勤など、生活の変化に合わせて住まいを替える機会の多い時期だ。まして、このところの低金利と不動産価格の下落に住宅ローン減税も加わって、これまで諦めていた住宅の購入に関心を持つ人が増えているらしい。街を歩けばマンションの建設工事をあちこちで目にして、「この不景気にこんなに建てて、いったい誰が買うんだろう?」と思うのだが、休日ともなればマンションのモデルルームには大勢の人がつめかけているのだそうだ。

際、週末の新聞にはマンションのチラシが大量に入ってくる。数千万円の買い物なんて、こちらにはハナから縁のないものだと割り切っているので、まったく無責任にチラシを眺めていると、けっこうウケてしまうのが近ごろのマンションの名前だ。
 これが一昔前であれば、マンションの名前というのは地名やオーナーの名前に続けて「○○マンション」となるのが、まぁごく普通のスタイルで、「○○レジデンス」ともなると「オ〜ッ」という高級感が感じられたものだが、近ごろはそれどころではなく、聞いたこともないようなカタカナ言葉が次から次へと登場して、なんだかとってもスゴそうなのだ。いやホント、試しに手近なチラシを見てみてください。
 そこで、第19号でやった「大学の新設学科名によく使われる言葉調査」の第2段として、「新築マンションの名前によく使われる言葉調査」をやってみたい。今回はネーミングで悩むマンションのオーナーさんやデベロッパー必読だぞぉ!

うなると、まず手始めにマンションの名前をたくさん集めなければならないのだが、新聞のチラシに入ってくるのは地元の物件に限られるし、そう数も多くない。そこで、今回はリクルート系の情報サイト<ISIZE[イサイズ]>の中にある<ISIZE HOUSE>を使って、現在販売中のマンションの名前を調べることにした。
 東京23区内を対象に、全ての価格帯のマンションを調べたところ、合計で538の物件の名前を採取することができた。この名前から、地名などを除いたカタカナ言葉だけを取り出して分類し、語の数をカウントしたところ、結果は次のようになった。

新築マンションの名前によく使われる言葉
順位 言葉     使用頻度(%)
1位 マンション   9.3
2位 シティ     8.7
3位 パーク     8.7
4位 ホームズ    8.2
5位 コート     5.9
6位 ステージ    3.7
7位 ハイム     3.7
8位 フォルム    3.5
9位 ガーデン    3.3
10位 グラン     3.3
(東京23区内,1999年2月)

 ほかに、「タワー」「アーバン」「キャッスル」「パレス」「ヒルズ」などの言葉もよく使われている。これらの言葉を地名と組み合わせて、「パークシティ赤坂(例)」なんてすれば、イマ風のマンションの名前ができあがるということになる。なお、カタカナ言葉でも、特定のマンションの商品名(ブランド名)としてしか登場しないものは除いてあるし、あくまでもこのサイトが扱っている物件情報に限った参考程度の結果なので、念のため。

 しかし、1位が「マンション」というのは納得なのだが、その割合は9.3%と1割にも満たず、「シティ」や「パーク」「ホームズ」といった言葉と大差ない状況になっているのは驚きだ。

 全体的に見て、集合住宅であることを直接明示するような言葉は避けて、高級感をイメージさせるような言葉が使われる傾向にあるようだ。「パーク」や「コート」「ガーデン」といった言葉は、「集合住宅=庭がない」というネガティブな印象を中和する効果があるのだろうし、「ステージ」や「キャッスル」「パレス」などという言葉には、普通の一戸建てとは異なる外観や設備面での豪華さを印象づける働きがあるのだろう。「タワー」という言葉は、あきらかに集合住宅にも超高層化が進んでいることを示している。

う一つ、最近のマンションの名前で特徴的なのが、地名が後に付くという傾向だ。名前の中での地名の位置が、かつては「赤坂マンション(例)」と前にあったものが、「パークシティ赤坂(例)」のように後に付くのが主流になっている。今回の538の物件の中で地名が前に位置する従来型はわずか41件、7.6%にとどまっている。

 これに対して目につくのが、「パークシティ赤坂アーバンステージ(例)」のように、地名の前後をカタカナ語で挟むサンドイッチ型で、これが75件、13.9%と従来型の倍近い割合を占めていた。その結果として、マンションの名前はどんどんと長くなる傾向にあり、今回調べた中で最も長かった名前は文字数でなんと23字(!)に達した。つまり、「パークシティ赤坂乃木坂外苑東通アーバンステージ(例)」といった感じだ。こうなると、住所を電話で説明したり、書類に書いたりするたびに一苦労ということになる。

 マンションの名前なんていうものは、誰にとっても簡潔明瞭であるにこしたことはないはずなのだが、それをそうはさせない不思議な力がマンションをめぐる人々の間に作用しているようだ。なんだか、松本零士氏の名作『男おいどん』に登場する「下宿館」のような、有無を言わせぬ名前が懐かしくなってきた。

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(http://www.isize.com/)


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