金子伸二

 3個入りや4個入りのパックで売られているヨーグルト。それぞれの容器のフタのプルタブのところになにやら数字が印刷されている。いったい何の意味なのか、ずーっと疑問に思っていたので、思い切って某メーカーのお客様相談センターに電話してみた。相手のお姉さんの素早い回答で、疑問はたちどころに氷解。それぞれの数字は工場の製造ラインの番号を示しているのだそうだ。フタには日付と製造所番号も刷られているので、フタを見れば工場とラインと製造年月日が特定できる仕組みになっているというわけだ。う〜ん、納得。

◆◆今月の金子さん〜チューブの世界◆◆

 「チューブ」と言っても、冬の広瀬香美と入れ替わるように出てくるTシャツ姿のお兄さん達のことではない。「中部」、いわゆる「中部地方」のことだ。これが妙に気になる。

つに関東地方が気にならないわけではない。自分が住んでいる所だし、友人や親戚もほとんどが関東地方にいる。だから「おおいに気になる」と言っていい。もちろん、北海道や東北、近畿、中国、四国、九州、沖縄といった他の地方のことも、いちおう気にかけてはいるつもりだ。東北地方で台風の被害があれば気の毒に思うし、四国地方が水不足になったと聞けば大変だと心配したりもする。無責任かもしれないが、日常的な関心の持ち方としては、まぁそんなところだ。
 ところが、中部地方の気になり方は、これらの他の地方とはちょっと違うのだ。ありていに言えば、「中部」という言葉そのものが気になるということになる。いったい「中部」って何なんだ?

 「関東」とか「近畿」では、言葉そのものが気になるということはあまりない。関東ならば茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の1都6県、近畿ならば滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山の2府4県が普通に思い浮かぶ。東北6県や中国5県、四国4県、九州7県に至っては、ほぼ疑いの余地はない。「九州7県を答えなさい」と言われて度忘れ状態に陥ることはあっても、佐賀県が九州に含まれるかどうかで悩むことはない。  しかし中部地方の場合、そもそもそれがどこを指すのかがはっきりしない。「関東と近畿の間」くらいのことは言えるのだが、「でもそれって北陸と東海じゃない?」と切り返されたらそれまでだ。
 にもかかわらず中部地方というものはあるのだし、それになんといっても「中部」なのだ。和英辞書には「中部地方」の英訳として「the central part of Japan」などと書いてある。「日本の中心部分」なのに、そんないいかげんな認識ではいけない! ということで、今回はこの「中部地方ってどこ?」な疑問を解明するため、霞ヶ関の各中央省庁の見解をただしてみることとした。さぁさぁ、どうなんでいっ!

勇んで乗り込んでいっても、電車賃もかかるし、相手にされないのがオチなので、各省庁の地方出先機関が全国をどのように区分して管轄しているのかを、インターネットで調べてみることにした。これなら、中部地方がどこなのかという疑問にも答が出るはずだ。

て、中央省庁の地方出先機関は実にたくさんあるのだが、ここでは地方行政連絡会議に参加している機関を対象に調べてみた。地方行政連絡会議というのは、都道府県行政の広域的な調整を図るために1965年に法定化されたもので、全国を9つのブロックに分け、当該県や政令市の首長と中央省庁の地方出先機関の代表とで、ブロック内の問題を協議する場となっている。
 どういうブロックに分けられているかというと、北海道、東北、関東、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州……。ち、中部がない! 「日本の中心部分」なのに。しかも、新潟が東北ブロックに入っていたり、山梨・長野が関東に入っていたりして、地理で教わったのとはちょっと違う区分になっている。

 では、この会議に参加している中央省庁の地方出先機関では、それぞれどんな地方区分を採用しているのだろうか。レギュラーで参加している機関は以下のようなもので、それぞれ( )内のような地域区分がなされている。

<総務庁> 管区行政監察局(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州)

<警察庁> 管区警察局(東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州)

<大蔵省> 財務局(北海道、東北、関東、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州)

<農林水産省> 農政局(東北、関東、北陸、東海、近畿、中国四国、九州)

<林野庁> 森林管理局(北海道、東北、関東、中部、近畿中国、四国、九州)

<通産省> 通商産業局(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州)

<運輸省> 運輸局(北海道、東北、新潟、関東、中部、近畿、中国、四国、九州)

<運輸省> 港湾建設局(第一、第二、第三、第四、第五)

<建設省> 地方建設局(東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州)

 この中で、港湾建設局の区分が他と大きく異なっているのは、太平洋や日本海といった海域をもとに分けられているからだ。それ以外の機関でも、中部の区分があるのは6機関で、地方財務局と地方農政局では「北陸、東海」という区分を用いている。

うなると、つまりは関東と近畿の間を「中部」と一括するか「北陸、東海」と南北に二分するかの違いにしか過ぎないように思える。そこで、それぞれの機関の区分が実際にどの都道府県を管轄としているのかを調べてみることにした。ところが、これが予想外の難事。管轄地域を一覧できるページがあったのは一部の機関だけで、あとはそれぞれの地方出先機関のページをたどりながら、管轄地域を特定していく作業になった。こうした行政機関のページは、どれも一見すると楽しげで親切そうな感じに作ってはあるのだが、意外と基本的な情報が抜けていることを痛感する羽目となった。

の結果、それぞれの機関の地域区分にはかなりの違いがあることが分かってきた。傾向として、近畿以西はほぼ確定的なのだが、東北〜中部にかけてはそれぞれの区分の範囲にかなりのバラツキがある。そのすべてを示すとかなりのスペースをとってしまうので、ここでは「中部」という区分を用いている6機関の、その具体的な範囲を示してみよう。

■各機関の「中部」の範囲

県名 総務庁管区
行政監察局
警察庁
管区警察局
林野庁
森林管理局
通産省
通商産業局
運輸省
運輸局
建設省
地方建設局
富山   ◎     ◎     ◎     ◎     ◎    
石川   ◎     ◎       ◎     ◎    
福井     ◎         ◎    
長野       ◎         ○  
岐阜   ◎     ◎     ◎     ◎     ◎     ○  
静岡   ◎           ◎     ◎  
愛知   ◎     ◎     ◎     ◎     ◎     ◎  
三重   ◎     ◎       ◎     ◎     ○  
(◎は県全域、○は県の一部を範囲とする)

 というように、6機関すべてで中部の範囲が異なっているという結果となった。愛知県と岐阜県が中部であることにはほぼ異論の余地はないようなのだが、それ以外の県については関東に含まれたり近畿に含まれたり、省庁・機関によって扱いが違っているというのが現状のようだ。

いって、別に違っていることをケシカランと言うつもりはない。それぞれの仕事に応じてやりやすい区分の仕方があるのだろうし、関東に住んでいる立場でとやかく口出しする筋合いではない。しかし、ここまで違うと逆に見事というか、妙に感心してしまう。それぞれの区分がどう成立してきたか、歴史的な経緯を探ると面白そうだ。

 ただ、例えば福井県の県職員の皆さんなどにとっては、そう面白がってもいられない。異動で部署が移るたびに、関係する中央の出先機関が「中部○○局」「北陸××局」「近畿△△局」と変わるわけで、ややこしいことこの上ない。
 これは中部地方に限ったことではなく、例えば新潟県の場合、ほとんどの機関では「関東」に含まれるのだが、農政と建設に関しては「北陸」扱いとなり、さらに運輸については「新潟」という県名を冠した運輸局がありながら、なぜか地方行政連絡会議だけは「東北」に含まれるという、はなはだ複雑な立場に置かれている。これじゃあ新潟の県知事さんは東北地区の地方行政連絡会議に出ても、普段知った顔ぶれが少なくて、寂しい思いをしてるんじゃないかと、ちょっと心配になったりもする。

 これに、さらに他の省庁、他の機関も含めて考えると、さらにややこしいことになってくる。「チューブ」の謎は、ますます深まるばかりだ。

今回アクセスしたページ


総務庁
(http://www.somucho.go.jp/soumu/)
警察庁
(http://www.npa.go.jp/)
大蔵省
(http://www.mof.go.jp/index.htm)
農林水産省
(http://www.maff.go.jp/)
林野庁
(http://www.rinya.maff.go.jp/index.html)
通産省
(http://www.miti.go.jp/index.html)
運輸省
(http://www.motnet.go.jp/mthome_.htm)
建設省
(http://www.moc.go.jp/index-j.html)


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