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 今月の木暮さん

失われた記憶と、銀色に光る円盤


        ある朝目覚めたら私の枕元に見たこともない新品のレーザーディスク・プレイヤーが眠っていた。

        夜はワイン好きの友人たちと久し振りに「世界ワイン紀行」(単に各国のワインを飲みまくるだけ)を挙行したのだが、ドイツ→フランス→イタリア→オーストラリアあたりで記憶がブッツリと途絶えている。しかもその後のことを思い出そうとすると、脳みその中でアモーレの鐘が200個くらい狂ったように鳴り響くようなひどい二日酔いであったため、必死に記憶を取り戻そうと努力したが全くの徒労に終わってしまった。
         一緒に飲んだメンバーにも一応訊ねてみたのだが、案の定、皆一様に記憶に濃ゆい霧がかかっていて思い出せないという。

        一体、昨夜何があったのだろう?

        ぁ今回など隣に寝ていたのがレーザーディスク・プレイヤーだったから良かったものの、大学時代の先輩で、酔っ払って駅前の薬局の前に設置された仔ゾウ(サトちゃん人形)を女と思い込んでさんざん口説き倒した揚げ句、自分のアパートに持ち帰って仔ゾウと朝を迎えた大ばか野郎もいるので、そいつに比べたらまだマシってもんかもしれない、と前向きに自分を擁護する私である。

        かし実際のところ、レーザーディスク・プレイヤーがあったからといって利用価値はあるのだろうか?
         映画なら<PerfecTV!><WOWOW><その他あらゆる局(インターネットTVガイド)>で毎日腐るほどやっているし、再生機としてならビデオデッキを持っている。
         第一、今世の中はDVDの時代だし、今更レーザーディスク・プレイヤーもないだろうという気はするのだが、まぁソフトの数はDVDよりLDのほうがまだ遥かに豊富だし、色々使っていればそれなりに便利かもしれない。それによく見ると私が買ったのはCDも再生できるコンバーチブルな機種であったし、領収書を見ると3万8千円であったことからも、悪い買い物ではなかったと…

        あっ!

         LDの素晴らしい点に今気付いた。
        それはビデオと違って画像・音質とも半永久的に劣化しないことだ。
         実は私は気に入った場面を何度も何度も何度も繰り返し見る癖があり、自ずとよく見る部分の劣化は激しく、「グレートブルー」で私が一番好きな場面(ジャックがプールで溺れて部屋に戻ってきたとき彼女に見せるイルカの写真のアップ)など、ノイズまみれの有り様だ。

        い立ったが吉日、まず手始めに私のお気に入り「グレート・ブルー」「用心棒」「銀河鉄道の夜」の3枚をインターネットで購入することにした。
         最近はインターネットによる売買のトラブルが多いこともあって、さすがにカードや電子マネーを利用して物を買うことにちょっと抵抗があるので、普通の通販と変わらない形式のお店<NINJA RECORDS><MALPASO COMPANY>を利用することにした。
         具体的に私の注文のやり方をご説明すると、<パイオニアLDC>のサイトで作品を検索し、結果に表示されている正確な商品名と商品番号をコピーし、それを通販の申し込みの欄にペーストするだけである。この簡便さがインターネットの醍醐味といった感じで気持ちいい。

         こうして私は労さずして欲しいLDを2日で手に入れたのだった。

        れが実際レコード店に赴いてLDを探すとなると、最悪一枚も見つからなかったという悲惨な結果に終わる可能性が高い。だから私にとって、貴重な休日に!化粧して!休日の駐車場は混むってのに車に乗って!…なのに収穫ゼロだなんてすこぶる虚しい事態が回避できるこのシステムは有り難いことこの上ないのだが、読者の皆さんはどう思われるか。
        (でも特に商品が決まっていない場合、あるいはメーカーに在庫がない場合などは散歩がてら電気街をウロウロ散策するのも良いだろう。健康にもいいし)

         何はともあれ、記憶が無くなるほど呑んだくれるような無茶なことはそろそろ控えないと、肝臓にくるしなぁ、などと年寄りくさいことを考えるようになったあたり、さすが32歳、我ながら大人になったもんだと一人寂しく笑う私であった(フッ)。