真柄裕美

 今、わたしが住んでいる「多摩欄坂」という場所は、ロック歌手の忌野清志郎が歌にして歌ったという事で、坂の途中の石垣には、彼のファンのメッセージが書かれている。「念願かなって、ついに来ました from 函館」とか、「沖縄から清志郎に逢いにきました」というのもある。しかし、彼がこの辺りに住んでいるという話は聞かないし、定期的にこの坂を訪れてメッセージをチェックしているとも思えない。そう考えると、石の上に油性マジックで書かれたメッセージたちが可哀想で、清志郎のかわりに撫でて挙げたくなる。あれっ、わたしじゃダメ?

◆◆今月の真柄さん〜朗読で広がる詩の世界◆◆

日、アイルランドから来日していた詩人の朗読を聴く機会があった。詩人の朗読を聴くのは初めてだったので、芝居の役者の独白のようなものを想像していた。ところが、詩人本人による朗読は、私の演劇経験とは、全く違うもので、衝撃を受けてしまった。一番驚いたのが、書かれた詩に、読み手の気持ちがぴったり寄り添うということ。作者本人が読んでいるのだから、詩とそれを読む声や感情が重なるのは、当たり前のことなのかもしれない。でも、そのせいか、声の微妙な緩急や強弱に、詩が生き生きと蘇り、ものすごく大きな力が客席まで迫ってきた。実際、この詩人の朗読を聴いていた聴衆は、彼の声に釘付けになり、その場は時間が止まってしまったようだった。
 いやあ・・・、詩人の朗読がこれほど感動的だとは・・・。何故、今までわたしは知らなかったのだろう・・・。と思って、インターネットで探してみると、詩人の朗読に関するサイトもある様子。
 ちなみに、わたしに朗読の感動を与えてくれたのは、ポール・ダンカンという詩人なのだが、遠く離れたアイルランドからの来日は、もちろん頻繁には望めない。だから、ここは一つ、他の詩人の朗読の機会を探して、出来ることならあの感動をもう一度味わいたい。

 <すばる文学カフェ>では、集英社の文芸誌「すばる」が主催する、作家の朗読会の模様が報告されている。ここでは、読者と作家の交流もできるらしい。ファンにとっては、見逃せない企画だ。詩人の谷川俊太郎を始めとして、小説家の奥泉光や島田雅彦などが、これまで登場している。
 朗読会の予定も知らされているから、時々チェックして、好きな詩人や小説家が出演することになったら、駆けつけたい。

本での朗読の機会は期待できないが、中国での詩人の朗読会を伝えるページを見つけた。<まいど新谷商店です><わくわく北京日記>の中の<9月5日(金)郭路生の詩>によると、詩の朗読会は中国では、よくおこなわれているとのこと。精神病院から外出を許されてパジャマ姿で朗読する詩人と、朗読にストレートに反応する聴衆の熱いやりとりが伝わってくる。ここでは、観客も朗読に参加でき、文革時代を彼の詩に支えられて生き抜いた世代が静かに朗読をする。かなり、感動的なシーンだ。この日記の最後には、この詩人の詩も載っている。願わくば、略、なんていわないで、もう少し読みたかったけれど・・・。
 それから、この北京日記には、リアルタイムの中国の様子が詳しく書かれていて、他のページも思わず読み耽ってしまった。この日記を読んで、自分がいかに中国のことを知らないかと感じさせられた事柄の一つが、甘いものやお菓子の記述。中国の人が砂糖の甘みに、これほど魅せられているとは知らなかった。餃子を食べる中国人は想像できても、甘いお菓子に顔をほころばせる中国人が、私の中ではイメージできない。全く、自分の偏見と浅はかさと無知に愕然としてしまった。この北京日記、ブックマークをつけて、ついでにメールアドレスを送って交信通知も希望したいところ。

分にとって中国は遠く馴染みがないんだな、と感じながら、ネットサーフィンをしていると、中国と同じくらい遠いと感じられる国(あくまでも主観的)で、詩人の朗読会に参加した日本人のページが見つかった。

 <Poesie Sky 笠井嗣夫ホームページ><スロバキア紀行 >は、北海道の詩人が、スロバキアの詩人会議に参加した時の記録。「18th World Congress of Poets」の会場には、力強い朗読で他を圧倒するインドの詩人、政治のことを突っ込んで話すのがはばかれるユーゴスラビアの詩人など、世界中から詩人達が集まっている。英語と何故か中国語の通訳サービスがつく中、日本人はあまり居心地良くないだろうが、「俳句を研究しています」という様々な国の詩人からサイン入りの詩集をプレゼントされたりする。この紀行は、飛行機の時間やタクシー料金など、かなり具体的なことも書かれているのに、どこか幻想的な印象を私は受けた。詩人の文章のなせる技か、それともスロバキアという土地のせいか、とにかくたっぷり楽しめる。

の朗読を聴くためのサイトを探すつもりが、日記や紀行文に脱線してしまった。これらがおもしろかったせいもあるが、あまり詩の朗読のサイトが見つからなかったのも事実だ。まだまだ、詩人の朗読は、日本では多く催されていないのだろうか。先ほどの<北京日記>によれば、中国では詩の朗読はよくおこなわれているらしいから、日本はきっとそれより少ないのだろう。今回、現代詩人のホームページもいろいろ目を通してみたが、詩の朗読に対して、否定的な見方をする人も以外に多かった。まあ、いろいろな考え方があるのだろうが、読者としては単純に、書いた本人の声が聴けたら、と思う。詩でも小説でも、読んで感動したら、今度はそれを書いた人の声を聴きたくなるのは、わかりやすい欲望だと思うのだが・・・。

ころで、先ほどの<すばる文学カフェ>では、リアルビデオによる録画中継もあるらしい。残念ながら、我がマックは少々古いから、これを見ることはできなかった。どれくらい古いかというと、購入してから、かれこれ6年も経つだろうか。先日、この話を仕事場の同僚にしたら、唖然とされてしまった。日進月歩の激しいコンピューターの世界では、6年前のマックなんて、化石なのかも・・・。
 1999年は、パソコンをバーションアップし、音声のソフトも用意して、朗読も流れる環境を整えたいと願っている。


今回アクセスしたページ


すばる文学カフェ
(http://www.shueisha.co.jp/subaru/)
まいど新谷商店です
(http://www.seinan-gu.ac.jp/~hideaki/index.html)
Poesie Sky 笠井嗣夫ホームページ
(http://www.asahi-net.or.jp/~pg6y-skt/poem/poemmenu.html#SIRN)


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