宮内泰介

「あのね、近ごろの小学生はトーテムポールって名前知ってるんだね」という知人の文化人類学者。「そんなの当たり前でしょ。どこの小学校にも卒業制作などで作ったトーテムポールがありますよ」と1961年生まれの私が言うと、「えっ、そうなの? そんなの知らなかった」と1951年生まれの彼。どうやら小学校にトーテムポールがあるのを知っているかどうかで年がわかるということになりそうだが、それにしても、日本中の小学校でトーテムポール作りがある時期一気に行われるようになったということになる。いったいなぜ?
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◆◆今月の宮内さん〜博物館を歩く◆◆

「博物館行きだ」と言うと悪口である。古くて、時代遅れで、もう使い道がなくて、博物館で埃をかぶるしかない。そんな意味だ。
しかし、当の博物館の方は、それこそ博物館行きにならないように、結構がんばっている。

とえば、<兵庫県立人と自然の博物館>のページ。博物館といえば、古いものをガラス張りの展示室に厳かに飾ってあるというイメージがあるが、この博物館は、兵庫の自然を知るための博物館である。そのホームページの目玉は、日本の虫や鳥たちの鳴き声が聞けることだ。コオロギ類、キリギリス類の鳴き声、セミの鳴き声、野鳥の鳴き声、カエルの鳴き声が数多く収められている。「コオロギ類」なんてあるけれど、コウロギにそんなに種類があるの?と思って見てみると、なんとエンマコオロギ、タイワンエンマコオロギ、ムニンエンマコオロギ、ミツカドコオロギ、オオオカメコオロギ、ハラオカメコオロギ、などなど、何とかコオロギと名前がついているものだけで27種類あり、仲間も入れると、その倍以上の種類がある。鳴かせてみると、確かに一つ一つ違う。子供のころ田舎で聞いたのは、どのコオロギだったのだろうか。

海道白老町にある<アイヌ民族博物館>のページは、アイヌの歴史・文化を紹介しているだけでなく、アイヌ語伝承者上田トシさんのウエペケレ(アイヌの民話)が、一部音声つきで公開されている。これまでテープを購入するか(それも難しそうだ)、白老町まで行くかしないと聞くことのできなかったものが、ホームページ上で簡単に聞けるのである。実際に聞いてみた。もちろんアイヌ語だから、さっぱりわからない。そこはカタカナおよびアルファベット表記と日本語訳がついている。収められている2つのウエペケレは数奇な人生をたどった主人公の話だった。殺したり、殺されたり、と生臭い話が続くのだが、それが何を象徴するのかよくわからないまま、私はもう一度上田トシさんの声を聞いた。

統派(?)博物館の雄、<京都国立博物館>のページは、非常に充実している。著名な収蔵品の数々を、高画質な画像で(写真の撮り方にも相当気をつかっているのが分かる)、解説を付けて公開している。一つ一つの収蔵品について、全体の写真だけでなく、裏の写真とか、部分の写真とかも載せているところが憎い。現在収蔵作品すべてのデータベースを作成中で、近日中にインターネット上で公開するという。また、「博物館 Dictionary」では、彫刻、絵画、漆器など、さまざまな展示品にまつわる話がわかりやすく説明してある。これは、「子供向け」と称しているが、大人でも十分楽しめる。

物館は、従来の建物に無機質に収蔵品を並べただけのものから、体験型、参加型への試み、デジタル化への試みなど、その姿を急速に変えようとしている。インターネットの利用もその一つだ。たとえば、博物館ではないが、<北海道大学附属図書館北方資料展示室>のページでは、収蔵する貴重な歴史的史料の全ページを公開していて、ページをめくるように、インターネット上で閲覧できる。

た、これまで紹介してきた博物館は、いずれも実際に存在している博物館だ。しかし、インターネット上には、実際には存在していない博物館もある。たとえば、小田原市の<時代(とき)の博物館>は、まだ作成途上だが、小田原の歴史に関するさまざまな史料をインターネット上で展示したものだ。こうした仮想博物館の試みも世界各地で行われている。

物館のリンク集は、<URL収蔵庫>などたくさんあるが、おすすめしたいのは、<博物館の博物館>。これは、「児童生徒が『知ることの楽しさ・面白さ』を味わうことを可能にする、学習活動形態の追求」が研究テーマの大学院生松下幸司さんが作ったページで、基本的にはリンク集なのだが、楽しい学びのための、工夫に凝らしたリンク集になっている。

いものを集めたのが博物館だった時代は彼方へ過ぎ去った。では何が博物館なのだろう? まだ明確な定義はない。だからこそ、インターネット上のさまざまな博物館の試みが注目される。

今回アクセスしたページ


兵庫県立人と自然の博物館
(http://www.nat-museum.sanda.hyogo.jp/home.html)
アイヌ民族博物館
(http://www.asahi-net.or.jp/~kt9m-ysd/)
京都国立博物館
(http://www.kyohaku.go.jp/indexj.htm)
北海道大学附属図書館北方資料展示室
(http://ambitious.lib.hokudai.ac.jp/hoppodb/musium/index.html)
時代(とき)の博物館(小田原市)
(http://www.city.odawara.kanagawa.jp/h/h1.html)
URL収蔵庫(塚原美術修復研究所)
(http://www.bekkoame.or.jp/~atsuka/ush/ush.html)
博物館の博物館
(http://www.hus.osaka-u.ac.jp/esthome/matusita/Museum/Museum.html)


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