宮内泰介

このWeb Travellersの原稿を書きながら、ネット・サーフィンの指南をするということがいかに無謀なことであるかを、これまでまざまざと思い知らされてきた。簡単なことだ。インターネット探索についてガイドするというのは、どでかい図書館に行って、「さあこの図書館ではこんなことができますよ」と解説するのに等しい。図書館の使い方は人によって千差万別で、何か一つか二つ、その使い方を指南するなど本来の図書館の趣旨から離れているとさえ言える。
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◆◆今月の宮内さん〜農家のページたち◆◆

たちが食べることをやめないかぎり、農業がなくなることはないはずだ。コンピュータ産業がなくなっても生きていけるが、農業がなくなったら生きていけない。にもかかわらず、私たちは農業について知らなさすぎる。マイクロソフトのことはよく知っていても、自分が食べているトマトがどこから来るのかさえよく知らない。
 マスメディアは都会にあり、農業はいつも取材される対象でしかない。農家は実はいろいろ主張しているのだが、それは農業関係の雑誌であったり、農家向けの会においてあったりして、なかなか農家と、そうでない大多数の人を結びつけるものがない。
 インターネットがその穴を埋める可能性をもっているかどうか、まだ私にはわからない。しかしおもしろい試みがすでにいくつも行われている。

初のおすすめは、<農家の裏側>。愛媛県のみかん農家TATSUOさんの、農家の本音がぎっしり詰まっている。「冬は寒いです」というエッセイの中でTATSUOさんは、「冬は寒いですね、何を当たり前のこといってるんだなんて言わないでください。そういうあなたの職場、冬寒いですか? 冬に外で仕事をしている方ならわかっていただけると思いますがこの季節はとくに、オフィスで仕事をしている人がうらやましくてしかたがないです。エアコンの効いているオフィスで仕事ができるっていいですね」と書く。農家の人には仕事中ラジオを聞く人が多いということを書いた別のエッセイでは、「実際のところラジオが聴きたいから聴いているのではなく、ほとんど職場で人との出会いがない状況をラジオで紛らわしているのが本音かもしれない」と言う。その他、「休日は決まっているの?」とか「新婚の奥さんも仕事を手伝うの?」とか、「唯一の上司、おやじ 」とかいったエッセイの中に、等身大の農家像が浮かび上がってくる。

勝平野の田園農場<OMPファーム>(堀田誠嗣さん)のページは、ダイオキシンにこだわる。一人の農業者が、農業者だからこそ食と農についてこだわった結果、ダイオキシンや環境ホルモンの問題に行きつき、それについてインターネットをフル活用して自分で調べていった。国内に情報源が少ないと見るや、海外のサイトから有益な情報をたくさん見つけ出し、それをホームページに反映させている。その結果、日本でも有数のダイオキシン情報が充実したページになっている。堀田さんは言う、「ダイオキシンという物質を理解していくことは、実は私たち人間が文化的な生活と思いこんできた暮らし(もちろん、食生活も含めての話だが)、その一方で見過ごしたり、ないがしろにしてきたツケの大きさ、重さを身をもって感じていくことではないかと思うのだ」。「まずは、ダイオキシンについての情報源情報を確立しようじゃないですか。そして、身の回りの食と農に関心を持つ人たちのネットワークを作っていきましょう」と訴える。

ンターネット上で農業について発進している農業者を見ると、一つのことに気がつく。新規就農者が多いということだ(上の2人は違うのだが)。いろいろ考えて、脱サラして農業に飛び込んだ人々が、農業の世界に新しい風を吹き込んでいるということか。

規就農者の受け入れに取り組む大分県安心院町の小嶋近海さんは、Web版『月刊 地域づくり』1996年11月号(財団法人地域活性化センター)の中で言う、「新規就農者は農業のもつ暗いイメージを一掃しつつ、地域おこしにも一役買い、確かな手ごたえで農山村に新風を吹き込んでいる。企業で働いてサラリーをもらう生活よりも、大地を耕し、家族や生きものと暮らすいまの生活に価値観を見いだしている。『農業は割りが合わない』『苦労が多い』といって自分の子供が都会に出てしまった農家の親たち、農家に生まれながらクワひとつ持つことなく育ったその子供たちに比べ、新規就農者は農業経営に意欲的で、生きものを愛し、土を愛し、土地にとけ込んでいる。それらをみていると、これらの人たちが今後の地域おこしの核になっていくように思えてならない」(<新規就農者、地域おこしの核へ>

<高知 IKEZAWA FARM>の池沢智津子さんは、新規就農者というより、農家に嫁入りした女性である。「39才を目前にしたとき」、「360度生き方を変えると決意」して名古屋から高知県伊野町の農家に嫁入りした。義母は「百姓の嫁の辛酸をなめ尽くした顔」で「女に生まれると損ぞね」と言う。しかし、智津子さんは、周囲の反対を押しきって国道沿いのドライブインにある農協の直販所に出店するという攻勢に出る。「百姓が自分で値段を付けて消費者に直接売る、これからの農業の最先端だと思う」と言って、義母をも巻き込んでしまう。これを見た夫は言う、「農家も変わらなきゃいけないが、男はいっぺんにはやり方を変えられない。女が少しずつ変えて行くしかないんじゃないかな」。

ころで、農家のページたちを眺めていて気がついたのは、きれいに作られているページが多いということだった。手作りの達人たちは、ホームページ作りの達人でもあったということか。なお、農家のページのリンクは、<耕せニッポン!農家のホームページ>(JA全中)や<全国新規就農ガイドセンター>が充実している。

今回アクセスしたページ


農家の裏側
(http://user.shikoku.or.jp/tatsuo/nouka/index.html)
OMPファーム
(http://city.hokkai.or.jp/~hotta/)
小嶋近海「新規就農者、地域おこしの核へ」(『月刊 地域づくり』1996年11月号)
(http://www.chiiki-dukuri-hyakka.or.jp/book/monthly/9611/html/t8.htm)
高知 IKEZAWA FARM
(http://www2s.biglobe.ne.jp/~ikezawa/home.htm)
耕せニッポン!農家のホームページ(JA全中)
(http://www.rim.or.jp/ci/ja/agri_web.html)
全国新規就農ガイドセンター
(http://nca.agic.ne.jp/guide/)


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