宮内泰介

 8月、インドネシアの島々をぶらぶらしていた。東部にあるハルマヘラ島のラワジャヤという漁村を訪れたとき、村人たちがちょうどカツオをトラックに氷詰めしているところだった。村の小さな船で獲ったカツオだ。このカツオはトラックと船で別の島に運ばれ、そこでかつお節になるという。日本への輸出向けだ。インドネシアの小さな村と私たちの食生活がこんな形でつながっていることに驚いた。

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◆◆今月の宮内さん〜島々から◆◆

 「http://www.nf/」という世界でいちばん短い(かもしれない)URLがある。ドメインネームの最後は国のはずだが、nfは国ではない。オーストラリアのシドニー沖1,700mに浮かぶ島、<ノーフォーク(Norfolk)島>である。なぜ島の名前がドメインネームになっているのか? そこにこの島の数奇な運命が隠されている。
 「http://www.nf/」、つまりノーフォーク島のホームページによれば、この島は、18世紀、かのキャプテン・クックが発見したあと、フィリップ・キング大尉が囚人を連れて住みついたのが最初である。しかし、飢餓などが続き、植民活動は長く続かなかった。一方、遠くタチチにいたバウンティ号で、反乱者たちがブライ船長を捕まえ、乗っとってしまうという事件が起こった。この反乱者たちの子孫は、ポリネシア人妻たちとともにその後ピトケアン島という小島に住み(ピトケアンというもうひとつの数奇な歴史をもった島については<ピトケアン政府>の公式ホームページがある)、そして、1856年、ノーフォーク島に移住することになった。それが今日の住民の祖先になっている。
 「http://www.nf/」によれば、いまでもノーフォークは「オーストラリア領」ではない。「オーストラリアの”権威の下にある”領土だと言えるだろう。しかし決して所有されているわけではない」としている。それがnfという独自ドメインの由来である。
 nfという独自ドメインをもったこの島は、言語もまた、18世紀の英語とポリネシア語との混合である独自の言語をもっている。「How are you? 」は「Wutawayyou! 」、「Can you tell me where A is?」は「You el lahna me weighs A? 」、「I don't know」は「Kah Wah! 」となるらしい。
 現在、人口約2,000人のこの島は観光が主産業である。

本にも島はたくさんある。人が住んでいる島だけで325もある。
 財団法人日本離島センターの<しましまネットのページ>から、たとえば<北海道焼尻島のページ>へ飛んでみよう。原生林あり、花あり、鳥あり、と言われた日には、明日にでも行きたくなってしまう。
 しかし、同じしましまネットのページから<豊島からの報告>のページに飛んでしまうと、そんなうきうき気分はすっ飛んでしまう。
 豊島は、香川県の小豆島の西に浮かぶ人口約1,600人の小さな島である。しかし、ここは「ゴミの島」としても知られている。1970年代から産廃業者が不法投機を続け、それを行政も黙認してきた結果、「今も50万トンにもおよぶ大量の有害物質を含んだ産業廃棄物は放置されたままとなっている」。そのゴミのほとんどは関西の都市部で出されたものである。
 「豊島からの報告」を書いた豊島住民会議代表の石井亨さんは言う。「大型開発、あるいは広域処分といった言葉には少なからず抵抗を感じる。確かに規模が大きくなれば、単位あたりのコストは低下する。しかし、ことが何であれ、そのことにまつわってメリットとデメリットがある以上大型化すれば歪みもまた大きくなる。それは、いとも簡単に一個人や一地域社会の及ばぬ問題となる。廃棄物についていうならば、大型処分場の構想は、被害者を一部に集中させ、加害者を広域化させ当事者としての意識が保たれなくなる。当事者どうしが顔を合わせて共に問題の解決策を模索できる規模を越え主体の認識と責任が失われたとき、社会活動は暴力と化す」。
 重い指摘だ。リゾートとしての島とゴミ捨て場としての島は、私たちの欲望の結果の裏表をなすものかもしれない。
 なお、豊島については、「豊島からの報告」以外に、<豊島問題>(毎日新聞高松支局&香大法学部鹿子嶋研究室)と<豊島へ行こう>が詳しい。

南アジアの島々を歩きつづけた故鶴見良行氏が語ったように、「島はあれこれと思考を鍛えてくれる」(『朝日ジャーナル』1992年1月3号)。

今回アクセスしたページ


Norfolk Island
(http://www.nf/)
Pitcairn Island Government Web Page
(http://users.iconz.co.nz/pitcairn/)
しましまネットのページ(財団法人日本離島センター)
(http://www.nijinet.or.jp/)
焼尻島ホームページ
(http://www.voicenet.co.jp/haboro/yagishiri/index.html)
豊島からの報告
(http://www.asahi-net.or.jp/~TQ9R-SRI)
豊島問題(毎日新聞高松支局&香大法学部鹿子嶋研究室)
(http://www.kagawa-u.ac.jp/law/teshima/index.html)
豊島へ行こう
(http://service.kagawa-net.or.jp/teshima/teshimaindex.htm)


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