宮内泰介

 田舎に育った反動か、あまり「自然」というものが好きでなかった。人がごちゃごちゃいるところの方が、よほど自分の内面からの問いに答えてくれた。しかし、30歳台後半になって、急速に自然を求めている自分に気がついた。幸い札幌に住んでいるので、ときどき近郊の森林を歩く。えも言われぬ気持ちになる。単に年だということか、それとも時代が「自然」を求めているということか。

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◆◆今月の宮内さん〜エコツーリズム?◆◆

つのころからか、エコツーリズムという言葉が流行っている。
 ためしに毎日新聞のデータベースで調べてみたら(「エコツーリズム」「エコツアー」で検索)、1989年までは0件、1990〜1992年が年1〜2件、1993〜1995年が年6〜7件、1996年が11件、1997年が15、そして今年が20件、と順調に件数を増やしている。  私が毎年通っている南太平洋のソロモン諸島でも、この2〜3年、「エコツーリズム」は流行り言葉になっている。ソロモン諸島なんぞ、そもそもエコしかないのだから、すべてのツーリズムはエコツーリズムにならざるをえないのだが、それでもエコツーリズム、エコツーリズムと盛んに言っている。
 エコツーリズムと一見関係なさそうに見える京都の町でも、エコツーリズムが唱えられている。<京都府中小企業総合センター>が、ホームページの中で、<エコツーリズムに関する調査報告書>を公表しているが、それによると、「京都はまさに、日本的エコロジーを文化・芸術にまで高めた資産と伝統的日本の農山漁村を併せ残す日本のエコロジーの源流と言っても過言でない地域である」。だから京都でこそエコツーリズムを、と言うのである。「京都のエコツーリズムは、まさに『日本のエコロジー・再発見の旅』なのである」。ほんまかいな。
 そこに住む人々から内発的に出てきたエコツーリズムには、しかし、見るべきものがある。北海道天売島のエコツーリズムは、島在住の自然写真家寺沢孝毅さんらが中心になって進められてきた。ウトウ、ウミガラス(オロロン鳥)など8種類百万羽近くの海鳥が3月から8月にかけて、繁殖のために訪れる、まさに海鳥の島の自然を保護しながら観光を推し進めようというのが天売のエコツーリズムだ。そのホームページである<海鳥ドラマチックアイランド 天売島>は、海鳥を始め鳥たちをウォッチングしている結果が報告されている。

た、世界で唯一の非武装永世中立国コスタリカが、豊かな自然を守るということと経済的な自立を行うことを両立させる方途として選んだのがエコツーリズムだった。コスタリカのエコツアーに参加したTadashiさんの<僕のコスタリカ日記>はその様子をよくあらわしている。「ゴンドラは歩くようなゆっくりとしたスピードで、熱帯雨林の中を進んで行く。基本的にゴンドラの支柱は1本で登りは下の方を、下りは上の方を通る。森の中は静寂の世界で、誰もが言葉を失い森の中にとけ込んでゆく。野鳥や蝶が目の前を飛び、野鳥の鳴き声が心地よく響いている。樹冠の上から森を眺めると、ランや、アナナスなどの着生植物の世界が広がっている。またツル植物などが幹を覆い熱帯雨林特有の光景を目の当たりにする事が出来た」。
(なお、コスタリカのエコツーリズムについては、<WildCostaRica.Com><コスタリカ共和国政府観光局>のページなどに詳しい。
 エコツーリズムの先進国としてコスタリカとともによく取り上げられるオーストラリアでは、大学にエコツーリズム情報センターがあるくらいだ(<Charles Sturt University Ecotourism Information Centre>)。そのホームページでは、エコツーリズムに関するさまざまな情報が蓄積されていて、私たちもそれをすぐ見ることができる。

かしエコツーリズムに対する疑問の声も聞こえてくる。
 エコツーリズム・アドバイザーのローリー・ルーベックさんは、「エコツーリズムという言葉は、便利なキャッチフレーズとして、自然に優しい旅行であればどんな旅行にでも、また今後観光地保全の切り札となる旅行として、商標のごとくすでに日本でも使われていますが、なかには間違って使われている例も見られます」と言い、アメリカのエコツーリズム協会のM.E.ウッド氏の次の言葉を引用している。「エコツーリズムという言葉がしばしば間違って使われているために、責任感のある多くの会社が、かえってエコツーリズムという言葉の使用をやめようとしている」(<旅コム>)。<Dunia>)という旅のWeb雑誌に「トンガからのニューズレター」という連載を書いている又平直子さんは、その中で「エコツーリズム」を批判している。トンガのある島で、ニュージーランド人の夫婦がタヒチのリゾートか何かを模倣したような建てた。「電源は全て最新のソーラー・パワー。徒歩で一周20〜30分の理想的なビーチとリーフを持つ無人島。レストラン・バーも完備し、各コッテージには水洗トイレから温水シャワーまであり、朝食はコッテージまで運んでくれ、各コッテージはそれなりの距離をおいて建てられているのでプライバシーも保たれる。(中略)この夫婦も自分達の施設のことを、環境にフレンドリーな究極のエコ・ツーリズムのリゾートだとおっしゃる。(中略)トンガという国やトンガの人々や文化は登場しない」。
 むしろ「エコツーリズム」を名乗らない方に、見るべきものがある。又平さんは、こんな例を挙げている。
 「トンガ人一家(親戚も含め)が経営するゲストハウス。清潔にし、温水シャワーも共同だがある。敷地内にパン屋があり、宿泊客をどんどんパン焼き作業から販売まで参加させてくれる。日曜日のみならず敬虔なクリスチャンである一家は、教会活動にもいつでも連れて行ってくれる。一家の農作業やら大工仕事やらパン屋やらの手伝いをしてくれている人々を総動員して土曜日の夜はビーチでピクニックもした。すんなりと家族の一員としてゲストを迎えてくれる」。
 結局のところ、「エコ」かどうかが問題なのではない、ということだ。

今回アクセスしたページ


京都府中小企業総合センター
(http://www.mtc.pref.kyoto.jp/)
海鳥ドラマチックアイランド 天売島
(http://city.hokkai.or.jp/~teuri/)
僕のコスタリカ日記
(http://www2s.biglobe.ne.jp/~tadu2/index.html)
WildCostaRica.Com
(http://www.wildcostarica.com/)
コスタリカ共和国政府観光局
(http://www.costarica.co.jp/costarica/)
Charles Sturt University Ecotourism Information Centre
(http://Lorenz.mur.csu.edu.au/ecotour/EcoTrHme.html)
旅コム
(http://www.tabicom.com/)
Dunia
(http://www.nifty.ne.jp/forum/fworld/dunia/)


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