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 今月の大榎さん

ネットワーカーと市民運動


        ●他人ごとではすまされない

        前にもこのコーナーで話題にした、インターネット上の検閲問題。「組織的犯罪対策法」と呼ばれる法案の中、その盗聴項目はインターネット・メールなども対象にしたシロモノだ。電子メールなんてハガキみたいなものだから、そもそも秘匿性はない、とは言うものの、郵便屋さんがジロジロ内容を確認するという常識はないはず。その点、電子メールの盗聴は、容疑者に対する捜査とはいえ、その性質から、関連情報をごっそり地引き網方式で盗聴(コピー? )することもできる。フツーの市民でも、捜査の網に掛かってしまう可能性が大きいのだ。今国会での上程はなくなったけど、まだまだ注視が必要だ。ここは、自分の電子メールを誰かがのぞいたり操作したら? 、という可能性をまじめに考えてみるべきだろう。

        ●シンポジウム『異議あり! 盗聴法 -インターネットが危ない- 』

        いうわけで、先日、東京は渋谷の公園通りに面した一角で、ネットワーカーによるシンポジウムが開催された。パネラーは、富山大学教授で『市民運動のためのインターネット』(共著・社会評論社)などの著書を持つ小倉利丸さん、インターネット関連のメディアでも活躍中の、メディア・プロデューサー福冨忠和さん、それに、『市民インターネット入門』(岩波書店)などの著書を持つ、フリーランス・ライターの安田幸弘さんといった面々。
         特に興味深かったのは、福冨さんによる諸外国事情の報告。台湾日本以外の東南アジア諸国は、インターネット規制が当たり前で、いくつかの国では、すでにネット上を流れる情報を常時監視する体制を整えているという。また、盗聴を行っている主要国では、盗聴行為が多大な出費を必要とする割に、検挙率の向上には結びついていないというデータもあるらしい。
         こうした情報はなかなか一般化しないものだが、電子プライバシー情報センター<Electronic Privacy Information>や、タイトルページのグラフィックがふるっている電子フロンティア財団の『検閲と表現の自由資料』<EFF "Censorship & Free Expression" Archive>、それにインターネット検閲情報ニュース<Internet Censorship News>などに、かなりの情報蓄積がなされている。ネットワークに関わるこうした情報も、やはり、米国に偏るのがちょっと残念なところだ。(おまけに、翻訳ソフトの力を借りないと、全く理解すらできないという私も、ちょっと情けない? )

        ●ネットワーカーによる市民運動

        して、今回のシンポジウムを主催したのは、<JCA>(市民コンピュータ・コミュニケーション研究会, Japan Computer Access)なるボランティア組織のなかの「反盗聴法プロジェクト」。このJCAは、まさにネットワーカーのボランティアによる市民運動。先の地球温暖化防止京都会議でも、他のNGO組織とともに会場内にマシンを設置し、連日最新情報を伝えていた。また、この運動から生まれた<JCA-NET>は、市民運動グループや高齢者向けにパソコン教室を開催したりと、ポリシーのあるプロバイダーだ。JCAホームページからのリンクをたどってみるだけでも、日本語圏ネットワーカーの活発な運動を垣間みることができる。
         さて、それでは我々はなにをやるのか?
         関心を持ったら、ボランティアでも何でもどんどん参加することだろうが、これまた福冨さんの言である「DTA=デスクトップアクティビズム」の発想も面白い。せっかくコンピューターやインターネットを利用しているのだから、こいつを利用しない手はない、というわけ。インターネットを使えば、座ったままでも情報交換やアピールが可能だ。政府やプロバイダーが、その目的のために何らかの主張や制度を作るとすれば、その利用者(参加者)だって、市民や消費者として、平等に意見を主張してゆくべきだろう。