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日本酒と麹

おひさしぶりれーす。「WebMag第4号/特集:サンゴ礁の海」に引き続き、2回目の登場、みどりれすぅぅぅ。あれれ?なんらかワタシ、やっぱりロレツが回ってなぁい?うふふ、実は今、お猪口片手にネット・サーフィンの真っ最中なんれすー。今年からついに私も日本酒党の仲間入り。気になってちょっと覗いてみれば、出てくる出てくる!日本酒のサイトって、結構たくさんあるんですねー。酒蔵、酒屋のホームページから日本酒愛好家の飲酒日記まで、そりゃもう盛りだくさん!

 只今は、酒蔵見学の真っ最中!『電脳酒蔵/リアルタイム酒造り』の「中継レポート」では精米以降、一切合切の工程を写真で見ることが出来ちゃう。『お酒の博物誌/お酒のできるまで』は、ちょっと親切に図解入りだぁ。
れもなんか、専門用語がいっぱいで、イマイチよくわかんなぁい。どーいうことだぁ?ねーねー、誰かっ!・・・あっ、いかんいつもの絡みグセがでてきそう・・・。

 ふーっ、ちょっと酔いを冷ましてちゃんと調べてみようかな。んでもって会社の忘年会で、おじさま達相手にいっちょウンチクでも披露してみるかっ。いつも若いモンは何も知らないって長話を聞き続けるのはこっちの方なんだから!!

▼いちばん単純な酒づくりは果実酒

ーし、まずは何か単純なお酒のつくり方から調べてみよう。お酒の種類によって原料やつくり方が様々でも、みんなアルコールはアルコール。比較的少ない工程でつくることができるものなら、きっとアルコールづくりの基本が分かり易いハズ。そうだ!去年まで浴びるように飲んでいた(冗談ですよっ!)ワインは、どうだったっけ?
 そう言えば、欲しいなーって思ってた『ワイン作りお試しキット』には、「果実ジュースにワイン用イーストを加える。これで発酵させてワインの出来上がり!」って書いてあった。つまり、原料のぶどうをイースト菌を使って発酵させて、ハイおしまい!ってわけね。イースト菌て確か酵母菌のことだよなぁ。あっ、なんだか思い出してきた。酵母菌は、糖分を食べて、アルコールと炭酸ガスをつくるんだ。
確か中学校の理科の授業で教わったような・・・。
 と、思い付いて探してみると、『ビールのはなし/発酵(酵母と酵素)について』に詳しい話を発見!日本酒、ビール、ワインは、酵母菌などの微生物の助けを借りて「糖をアルコールと炭酸ガスとに変える“アルコール発酵”」によって出来るんだって。そして、アルコール発酵の働きをするのは酵母菌の出す“酵素”というもので、生きた細胞内でつくられる蛋白質の一種とのこと。
 「発酵の段階で原料の中の糖は、各種の酵素で次々と分解されてエチルアルコールと炭酸ガス等に変わって行く」とある。でも待てよ、日本酒の原料であるお米やビールの原料の大麦に、ぶどうのように豊富な糖分なんて、含まれていたっけ?

▼穀物はどうやってアルコールになるの?

「大七」大七酒造株式会社「酒蔵見学」お米を蒸す より
の答えは『ハイパー酒の文化館』「1.お酒(アルコール)はどうしてできる?」にあった。米・大麦などの原料は、まずそこに含まれるデンプンを糖分に変える必要があったのだ。これを「糖化」といい、日本酒の場合は「麹菌というカビが作る酵素」、ビールの場合は「麦を発芽させ、これを乾燥させた麦芽の中にある酵素」の力を借りるという。なるほど、ワインが原料をそのまま「アルコール発酵」させればいいのに比べ、日本酒やビールは、原料のデンプンを「糖化」させるというもうひとつのプロセスが必要だったんだ。
 ちなみに『お酒の博物誌/三大醸造法』によれば、「アルコール発酵」の工程だけでつくるワインを「単発酵酒」、「デンプンの糖化」と「アルコール発酵」の2つの工程でつくるビールと日本酒は「複発酵酒」というのだそうだ。
しかし、同じ複発酵酒でも、ビールは「デンプンの糖化」と「アルコール発酵」を別々に行うので「"単行"複発酵」、日本酒はこの工程を同時に進行させるので「"並行"複発酵」と区別して呼んでいるらしい。図解入りで違いを説明してある。
 『南部杜氏WEB/日本酒の特徴』によると、日本酒のアルコール濃度が高くなる秘密は、この「並行複発酵」にあるそうだ。ビールのアルコール濃度が5%であるのに対し、日本酒は15%(原酒では20%)。日本酒のアルコール濃度は、世界の醸造酒のなかで最も高い。このような違いができる理由は、『日本酒の比較醸造学』に詳しく解説されている。

▼「麹菌」って一体ナニもの?

ころで、ビールづくりで糖化に使う「麦芽」って原料の大麦が形を変えたものなんだよね ?『お酒の博物誌/ビールの起源』の説明によれば、麦芽とは、麦が栄養分のデンプンを酵素で分解し糖分をつくり、それをエネルギー源に発芽・成長していこうとする、その途中で乾操して植物の働きを止めたもの。この時点の麦は、ビールづくりの「糖化」に必要な酵素が十分に蓄積されている状態なんだって。
 なるほど、ビールの場合、デンプンを糖化させるのに大麦の「麦芽」という時期に目をつけたんだ。一方、同じデンプンを糖化させるにも、日本酒で使っている「麹菌」は、原料からできるものではない。どうしてわざわざ「麹菌」を?そして「麹菌」ってそもそもナニもの?
 さっき見たサイトに「麹菌というカビが作る・・・」っていう表現があったケド・・・。
うぁぁぁ、そうかカビだったんだぁ〜。
 早速、『カビの研究』というサイトを見つけて行ってみると、パンやナスにカビを発生させる実験の結果レポートがあった。
パンに生えたカビを虫眼鏡や顕微鏡で観察した絵が描いてあって、とても具体的。見れば、生えたカビの種類としてアオカビやクモノスカビとならんで、コウジカビ、クロコウジカビの名前があがっているではないかっ!ナルホド、麹菌というのは、厄介ものだと思っていた身近なカビの一種だったのだ。カビも麦芽同様、成長(増殖)する過程で様々な酵素をつくりだしている。そのなかで、酒造りに適した酵素をつくり出す麹菌が選ばれ、酒造りに使われていたんだ!
 『菅間博士の泡盛Q&A』によれば、沖縄の泡盛の酒造りには、クロコウジカビが活躍しているんだって。クロコウジカビは、高温の沖縄に適している働きをすると書いてある。
 日本列島の酒づくりは、高温多湿な環境で繁殖するカビの働きをうまく使っている訳だ。酒のつくり方は、その土地の気候、風土の中から生まれてくるらしい。これは、なかなか奥の深い話だぞ。
 そういえば、日本列島の周りのアジアにも、同じような高温多湿な気候の所が多いけど、そこでの酒づくりはどうなっているんだろう?

▼アジアの酒と麹の深い仲

こで、アジアの酒について書いたサイトをさがしてみると『東アジアの酒 菌種の違いが酒をかえる』というのがあった。読めばなんと、デンプンを糖化させるのに麹を使うのは、東アジアの酒の共通点であり、特徴だと書いてあるではないか!解説の中には、酒づくりに麹を使う所として、中国、タイ、フィリピン、ヒマラヤといった名前が出てくる。とすると、東アジアというより、湿潤なアジアと言った方が良いかも。
「大七」大七酒造株式会社「酒蔵見学」麹を作る より
 思いがけず、高温多湿なアジアではコウジカビを使った酒づくりが一般的であることまでわかってしまった。でも、酒づくりに使う麹菌の種類や繁殖方法、その使い方は地域によってさまざまなようだ。日本酒の場合には、蒸した米に「黄こうじ菌」を振りかける「散(ばら)こうじ」と呼ばれるやり方。これに対して、他のアジアでは「餅こうじ」と呼ばれる麹菌の繁殖法が多いのだそうだ。「餅こうじ」というのは、穀物を粉にしたものに水を少し加えだんご状にして放置しておくと、クモノスカビや毛カビがはえて、澱粉の糖化が起きるというものだ。
 こうした違いはあるけれど、どうやら日本の酒づくりは、大きくは「湿潤なアジアに多いカビを使って穀物を糖化する酒」の一種である、と考えていいようだ。

▼カビでつくるアジアの発酵食品

ころで麹菌というのは、日本酒だけじゃなくて味噌や醤油をつくるのにも使っていたんじゃなかったかなぁ?『MISO ONLINE』に行ってみると・・・、ほら、やっぱりそうだった!みそQ&Aの中の「みその製造/みそ造りで麹はどんな役割をはたす?」を見ると、味噌をつくる時に活躍する麹菌は、酒づくりのとはちょっと種類が違うようで、主に大豆などの蛋白質を分解してアミノ酸にするのが得意なタイプのものだ。
 となると、湿潤なアジアでは酒づくり以外にも、カビを使った発酵食品がいろいろあっていいハズだな。探してみると、あった、あった。『病み付きになる発酵食品』には、豆腐にカビを生育させた後、塩漬けし、さらに酒、塩、麹、香辛料等からなるもろみに漬け込み発酵させてつくる中国の「腐乳」や、大豆を煮た後、クモノスカビを接種して煮豆の表面が白い菌糸で包まれるまで発酵させたインドネシアの「テンペ」が紹介されている。腐乳は、沖縄の“豆腐よう”によく似たもののようだ。テンペは納豆に似ているが、納豆が納豆菌を使うのに対して、テンペはクモノスカビを使っている点が違う。

▼微生物は、高等な動植物の大先輩

が大きくなってきたついでに、もっと風呂敷をひろげるとしよう。『電脳酒蔵/微生物』を見ると、カビだけでなく酵母やバクテリアのなど発酵作用を使った食品や酒の例が表になっていた。酒類やテンペ、納豆の他、パンやチーズ、ヨーグルト、漬け物、酢、鰹節なども微生物の力を借りて加工された食品だったんだぁ。
こういうふうに並べてみると、発酵食品というのは、それぞれの地域の食文化の基本になっているものばかりなのがわかってくるなぁ。
 こういう発酵食品は、カビや酵母やバクテリアといった微生物の働きを使って発酵を進めて、腐敗をおこす有害微生物が繁殖しにくい状態をつくりだしていると書いてある。発酵によって、日持ちのいい保存食になるだけではなくて、独特の風味もできるんだって。
微生物とか××菌と聞くと、悪いバイ菌だと思ってしまいがちだけど、人間の生活は知らず知らずのうちに、ずいぶん微生物のお世話になっているようだ。認識を新たにしちゃうなっ。
 そうだ、微生物君たちへの誤解の罪ほろぼしに、もうちょと微生物について調べてみるとするかっ。浜本哲朗さんの『生物学が嫌いなんて言わせない』というサイトに行ってみると、微生物についての基本をわかり易く整理してあった。生命の歴史が年表になっていて、これによると35億年前に地球上の生命が誕生しているが、「15億年前までは地球上の生命といえば、微生物のことだった。」と書いてある。高等な動物や植物より、微生物たちの方がずっとずっと先輩の生物である訳ね。
 だから、現在も地球の生き物の食物連鎖や互いに依存しあう関係の中で、微生物が不可欠の役割を果たしているのって当然なんだ。あぁ、とうとう話が35億年前にまでたどり着いてしまった!

▼日本酒をつくりだした高度な知恵と経験

も、こんなに長〜い間、活躍してきた微生物も、その働きが解明されたのは、ここ120年くらいのことだという。『酒文化向上委員会/第一章はじめまして!』によると、フランスの生物学者ルイ・パスツールが顕微鏡を使って「発酵の主役が微生物である」ということを発見したのは1857年。また、日本酒の醸造法が科学的に解析され始めたのは、明治時代になってからのことだそうだ。
「大七」大七酒造株式会社「酒蔵見学」醪の管理 より
 しかし、『酒の博物誌/今日の酒造りの原型』によると、15世紀には酵母菌を前もって培養する「酒母(もと)」という考え方が現れるなど、今日の酒造りの原型となる方法が既に行われていたらしい。また、『誰も教えてくれない酒蔵のはなし』「種麹(たねこうじ)ってどういうの?」にれば、「種麹屋(もやし屋)」とよばれる麹菌を扱う専門のメーカーが、既に室町時代からあったというのだ。これらのサイトを読んでいると、酒造りの主役が微生物だとわかる遙か昔から日本酒が造られ、また醸造法が経験と知恵によって完成度を高めてきたことに、改めて驚かされる。
 これは、世界的に見てもスゴイことらしい。日本酒醸造の技術の優秀さを示す「火入れ」の話がいろいろなサイトで紹介されている。さっき登場した学者のパスツールは、ワインを60℃ぐらいの低温で加熱しておくと雑菌が死んで腐らないことを発見し、有名な「パスタリゼーション」(低温殺菌法)をフランスで発表して醸造技術の発展に大きく貢献した。しかしその300年も前に、日本では出来た酒を「火入れ」(低温で加熱殺菌)することによって安全に保管する方法を既に取り入れていたのだ。

 うん、なんだか日本酒って調べるほど奥が深くて、味わい深い!今月の特集でみなさんは何か新しい発見がありましたか? ちなみに、もっともっと日本酒を味わいたい方、『サノヤ酒店のリンク集』など日本酒のリンク集を使って探索してみては?お猪口片手に、ね!



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