田中一徳

青春18きっぷを使って東京から九州へ。無事、年末年始を予定通りに(?)過ごすことができた。東京発は臨時の大垣夜行。熊本−天草−高千穂−別府とまわり、博多−京都も夜行列車。学生からプロの「鉄ちゃん」まで利用者は様々。
 あまったチケットで新潟の実家の雪下ろしにも行けた。自分にとって何歳になってでも手に入れたい青春のプラチナチケットである。

◆◆今月の田中さん〜いにしえの芸能と神楽の旅◆◆

統やルールって、小さい頃から慣れ親しんでいる人にとっては「常識!」に近いもの。だけど、誰もが「当たり前」や「普通」って案外少ないもの。当たり前の平均値ピッタリ以外は、みんな例外になってしまう。例えば、日本人の多くの人が食べるお正月の味「お雑煮」。お雑煮ほど自分が食べてるものが普通だと思っているものはない。でも、複雑化している現代社会に準じて「お雑煮」の「汁・味・具」も複雑化している。食文化を同じにする文化圏でも、中身が微妙に違っている。さらに「餅」の「焼く・煮る」「丸・四角」なんかを入れると指数関数的にバリエーションがある。
 食べ物以外の伝統的なモノに、「お祭り」や「芸能」がある。文明化したライフスタイルに今ものこる日本人の心の叫び。それが「お祭り」であり「芸能」である。「お祭り」、「芸能」は農耕、狩猟、飢餓、娯楽、呪い、祈願、風刺、コミュニケーションなど様々な活動が凝縮されている。世代を超え、新しい時代を創出してきた。日本人の原風景を垣間見ることも出来る。お祭り全般を旅したい方は、WebMagの<今月の特集「祭り」><日本の祭り><お祭り入門><祭りのくに>を参考にされたし。

戸時代後期、越後塩沢の鈴木牧之が雪国の生活について著した「北越雪譜」という書物がある。この書物は、現在の新潟県小千谷市から南魚沼郡あたり(いわゆる魚沼地方)の雪国の生活を40年の歳月をかけて執筆し、天保8年(1837年)、牧之が68歳の秋に初編が出版された。「北越雪譜」には、魚沼地方の伝統的な祭事であるの「斎の神(さいのかみ)の祭り」が紹介されている。本文中では「いわゆる左義長」として解されている。小正月の1月15日に正月に飾った物を集めて燃やす。これを左義長というようだ。

井県勝山市にも300年以上の伝統がある「左義長祭り」がある。これは、毎年2月の最終土日に行われる。フィナーレは、夜の「どんど焼き」で家内安全、五穀豊穣を祈願する。どんど焼きは火の神を敬い幸福を祈願し、災難除けをも目的としたもの。竹の棒などに針金で餅やスルメなどをつけ鎮火した炎にかざして、焼いて食べる。そうすると、1年は健康でいられる。餅は正月でわかるが、なぜにスルメなのかは、単に美味しいからなのだろうか?(<勝山左義長祭り>

家のある小千谷市稲荷町では、純粋な「斎の神」。神社の跡地の雪を踏み固め、直径3〜4mほど、高さ50〜60cmの円い雪の壇を作る。壇の中央に木を立てて柱とし、「書き初め」「お守り」「だるま」など柱に結びつけたり、積み上げ藁で覆う。ちょうどインディアンが寝る円錐形のティピィ(Tipi)のようである。頂上には、しめ縄で鳥の形を造るのである。メインイベントは、「おんべい(御弊)」とよばれる習字紙を細かく切った長い簾のような短冊のようなものを、長い竹竿のさきに糸で結びつけ、立ち上がる煙にかざし、天高く飛ばすというものである。集まった子供たちは、飛んでいった「おんべい」を取りに行く。天高くまるで龍のように昇るものもあれば、すぐに木に引っかかってしまうものもある。北越雪譜によると「おんべい」は、御弊で紙幣、お金を示しているとのこと。おんべいをとった子供は将来お金持ちになることだろう。国土庁地方振興局山村豪雪地帯振興課の<スノーネットワーク>は、「雪国のくらし、いま・むかし」」として北越雪譜をもとに江戸時代と現代の生活様式を照らし合わせている。新潟県塩沢町には、鈴木牧之の遺墨、遺品、関係文献など当時の暮らしぶりを今に伝えている鈴木牧之記念館がある(新潟県南魚沼郡塩沢町大字塩沢1112-2:電話0257-82-9860 交通:関越道塩沢石打インターより車で15分月曜日休館、入館料大人500円)

末年始で周遊した九州旅行の中で、興味深かった行事に、宮崎県高千穂の「夜神楽」がある。「高千穂地方に伝承されている神楽は、天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸に隠れられた折に、天照大神をさそい出そうと、神々が集まり談議したが、よい知恵が浮ばない。その時、岩戸の前で天鈿女命(あまのうずめのみこと)が面白く舞ったら天照大神が、少し岩戸を開いて見たので、世の中が明るくなった。というのが事の始まりと伝えられている。古来より永い間高千穂宮を中心にこの神楽を伝承して、今日に及んでいる。毎年11月の末から翌年2月にかけて各地農村で、全33番の夜神楽を奉納し、秋の実りに対する感謝と翌年の豊穣を祈願するものである(御神楽のしおりより)。」神楽は通常午後6時頃から始まり、33番が全て舞終わると翌朝10時頃からお昼近くになるという。町内各所で行われる夜神楽は当番制。当番の家にどんどん人が集まり、めし時になるとさらに集まり出すと聞く。当番の家は誰にでも食事を振舞わなければならない(タクシー運転手より情報収集)。観光客向けには、毎晩8:00〜9:00の間に高千穂神社の神楽殿で夜神楽を観ることができる。拝観料500円。詳しくは<高千穂町役場企画情報課>に問い合わせては…。
 観光夜神楽は、33番ある舞の中から4つ、天照大神が隠れている天岩戸を探し当てるところの「手力雄(たぢからお)の舞」。お隠れになった天岩戸の前で、天照大神を誘い出した。夜神楽の始まり「鈿女(うずめ)の舞」。天岩戸を手力雄が開き、天照大神に再び出ていただく「戸取(ととり)の舞」。最後に、酒を造り、飲んで酔っ払い。気を大きくし、拝観している観光客の中にふざけて乱入してくる「御神体(ごしんたい)の舞」。
「手力雄の舞」から「戸取の舞」までは、続きとなっている。迫力ある夜神楽の映像はフォトギャラリーの<KAGURA>で見る事ができる。神楽の虜になって「もっと詳しく!」「是非全部みたい!」という方は、神楽の用語集や全33番の説明を紹介している<夜神楽のホームページ>を参照のこと。

 伝統的なお祭りや芸能は、現代人が忘れかけている人間生活のルーツや法則性を見る事ができる。受け継がれている理由が、そのまま教訓になっているようである。まさしく「温故知新」である。

今回アクセスしたページ


今月の特集「祭り」
日本の祭り
(http://www.matsuri.com/)
お祭り入門
(http://www.omatsuri.com/)
祭りのくに
(http://www.sto.co.jp/member/sano/)
勝山左義長祭り
(http://www2.interbroad.or.jp/chizuko/sagi.htm)
国土庁
(http://www.nla.go.jp/welcome.html)
高千穂町
(http://www2.justnet.ne.jp/~takachihotown/)
KAGURA
(http://www.mnet.ne.jp/~sunplan/)
夜神楽のホームページ
(http://wwwstu.miyazaki-med.ac.jp/data/MMCTennis/yokagura/yokagura.html)


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