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 今月の山田さん

鳴き砂から環境問題を考える


        さん、鳴き砂をご存じですか?実際に触れたことはないが、テレビや雑誌などで話を聞いたことはあるという方は多いと思います。私の父は、この鳴き砂の研究家である、同志社大学の三輪 茂雄(工学博士)です。「ああ、あの鳴き砂じいさん?」と思い出された方、そうです、小さな乳鉢みたいなガラスの容器で「キュッキュッ」とやっているあの鳴き砂じいさんなのです。
         鳴き砂をご存じない方のために、父に代わって娘のわたくしめが簡単に説明させて頂きます(コッホン!)。

        き砂とは、特異な発音特性を有する砂で、ほとんど石英質のものが多い。
         日本では主に海岸に多く分布し、踏むとクックッと音がすることから、9+9の語呂合わせで十八鳴浜(宮城県)や、琴の音を連想して琴引浜(京都府)、そして琴ケ浜(島根県)が日本三大鳴き砂の浜として有名である。
         それに対して、海外では莫高窟で有名な敦煌の鳴沙山(めいささん)やシナイ半島のジュベル・ナクー(鏡の山)などは、ブーミングサンドという砂漠の鳴き砂の山で、ブーンという飛行機が飛ぶような轟音を発したといい、数々の探検家や研究家の記録が残されている。この2つの山は、それぞれ鳴沙山には大雷音寺が、ジュベル・ナクーには出エジプト記のモーゼの十戒の伝説が残されており、共に聖地であることと、雷鳴のような音がしたという点で一致しているのが興味深い。ただし、環境の変化のため、現在では鳴かなくなったらしい。

        のように、鳴き砂は古来から砂が音を発するという神秘性から、日本では唄に詠まれたり、海外では畏敬の念から聖地とされたりして人々に愛され、多くの伝説を残したのです。しかし昔の人のような感受性を失った私たち現代人は、経済効率優先で海砂を採取してコンクリートの材料にしたり、浜を埋め立てて原発を建設した、産業廃水や生活廃水をかまわず海に流し、観光やレクリエーションで砂浜やブーミングサンドの山を荒らした結果、多くの鳴き砂の地が失われたのです。
         父は私が学生のころから鳴き砂に取り組んで、もう30年近くになります。その頃から全国の鳴き砂の浜を調査し、環境破壊による砂浜の汚染や消滅を訴えてきました。当時は日本は高度経済成長の時代にあり、鳴き砂が鳴くことよりも、生活が豊かになることのほうを多くの人が望んでいたので、父は「変わった研究をしている先生」としか理解されなかったようです。
         時代は変わり、人々が否が応にも環境問題と向き合わなくてはならない現在になって、環境庁や建設省は遅まきながら鳴き砂の調査に乗り出しました。父は今までの研究や調査の全てをホームページ化するために、<鳴き砂(Musical Sand)>を公開しています。ホームページ作成には不慣れなため、まだまだ不備な点が多いのですが、全国の鳴き砂マップや鳴き砂に関する情報、それから父のもう一つの専門分野である粉に関する情報など、研究者のみならず一般の皆さんに楽しくわかりやすいページをめざしてがんばっています。
         また、前述の京都府網野町の琴引浜でも<琴引浜の鳴き砂を守る会>が琴引浜の情報を発信しています。今年はじめの重油災害では多くのボランティアの皆さんのお世話になり、また守る会の会員も増えて、立派な会に成長したようです。この情報を発信している松尾氏は、守る会の会長の松尾庸介氏の息子さんで漁師さんです。パソコンやホームページ作成には不慣れながら、重油災害の時には一生懸命ページを更新してがんばりました。琴引浜が以前にも増した美しさを取り戻せたのは、ボランティアの皆さんと松尾氏の努力と、そして自然の偉大な復元力のお蔭だと思います。

        は海水浴客がいなくなるので、夏場に比べて鳴き砂の発音も良くなります。松葉ガニがおいしい琴引浜へ、あなたも遊びに行ってみませんか?