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 今月の山田さん

自然との共生


        類といえば、多くの方が食材として広く使われているアサリ、カキ、ホタテなどから二枚貝を連想される方が多いようですが、これは軟体動物(MolluskまたはMollusc)の通称で、二枚貝・巻き貝はもちろん、イカ・タコ、ナメクジやナマコまでを含みます。
         これらの貝類は、水産資源となる以外にも、広く生態系の中でさまざまな役割を担っています。人を殺す程の猛毒の矢を持つイモガイ類やクダマキガイ類はどう猛な「肉食貝」。しかしその殻は美しく、装飾用やコレクターに珍重されます。造礁サンゴを食べるレイシガイダマシ類、そして同じくサンゴを食べるオニヒトデなどを好んで食べるホラガイ。海中の有機物をろ過して食べる二枚貝類は、海水のクリーンアップに貢献してくれるし、ムシロガイ類は、他の動物が食わなくなったような腐肉も食べる海の掃除屋で、ウミニナ類は干潟の大事な掃除屋さん…。というように、食用でなくても貝類は、生態系の一部として立派に役割を果たしているのです。
         このような、貝類も含めた水産無脊椎動物(魚類や爬虫類、鯨、イルカなどを除いた動物)についての研究を紹介しているのが<水産無脊椎動物研究所>です。こちらで発行している「うみうし通信」は、フルカラーでサンゴやウミウシ、貝類からクラゲなどの水中写真をふんだんに盛り込んでこれらの生物についての紹介や研究が掲載されていて、素人にも分かりやすい内容です。この機関紙はホームページ上でも申し込めます。まだホームページを開設して間もないので、今まで蓄積されてきた貴重なデータを、是非Web上にも公開されることを期待します。

        つての日本人は、この生態系の食物連鎖を巧みに利用していました。それは「せせなぎ(せせらぎ)」というシステムです。「水、三尺流れれば清し」という諺をご存じでしょうか?水は三尺流れれば水神様が清めてくれるというのです。現在の私たちの生活からはとても信じられないことですが、昔の田舎家をご存じの方なら覚えていらっしゃる方もいるでしょう。私も子供の頃、父の実家(岐阜県養老郡)で、この「せせなぎ観察」を父と一緒にしたのを覚えています。下水道など完備していなかった、日本の昔の田舎家のまわりには、畑に沿って下水溝が流れていました。下水溝といっても殆ど土を掘っただけの溝で、洗い場からの排水はここをゆっくり流れていました。
         この溝の流れを「せせなぎ」といい、その流れる場所によって、そこに適した微生物や植物が繁殖し、その働きにより水が浄化されて、鯉や鮒の泳ぐ池を経て、最終的に小川へと戻っていくのです。洗い場によく祭られていた水神様は、水を浄化してくれるこれらの様々な生物のことなのです。排水となって淀んでいる場所では、泡立ったり腐臭がするのに、池へ流れる時には綺麗な水になっている様子が子供心にも実に不思議で、水神様のパワーに感動したものでした。
         現在の下水処理場も、このシステムをお手本にして作られているわけですが、現代の私たちの生活は、せせなぎによる浄化処理をはるかに超えるスピードで汚水を排出し続けています。そこには昔の排水にはなかった人工的な化合物も含まれており、中には有害な物質までも含まれています。船舶の塗料として使用されてきた有機スズによるイボニシの奇形の問題は、十数年前から研究者の間で問題になりました。今ではこの有機スズだけでなく、ダイオキシンも含む数十種以上にものぼる物質が、生物の生殖機能をかく乱する「環境ホルモン」として注目されています。これらの物質は、私たちが自然の生態系を無視して、利便性や効率性追究の結果産みだしたモンスターなのではないでしょうか?

        境庁による<EICネット>の<ごみ問題の現状>では、この環境ホルモンの問題を含む、総合的な環境問題についての取り組みを報告しています。
         このごみ問題については、他の11サーチャーズの皆さんもリサーチしていらっしゃるように、子供たちの未来に係わる重大な問題です。私個人でもなにか出来ることはないかと、家庭用のゴミリサイクルを試みてきました。アルミ缶や発泡スチロールトレイ、牛乳パックは生協に、生ゴミはEMボカシにより堆肥化して、草花の肥料にしています。特にEMボカシによる生ゴミの堆肥化は、おそるおそる始めてもう七ヶ月になりますが、今までおぞましい存在だった生ゴミから、冬は葉牡丹、今は色とりどりの花を咲かせることができて、子供と一緒に楽しんでいます。ただ難点は、堆肥化した生ゴミは、腐っているのではなく、発酵しているだけなのでスズメやカラスやモズなどが時々掘り返して食べてしまうことです。
         この生ゴミ処理機については、<生ゴミ処理機のホームページ>の情報が充実しています。皆さんもチャレンジしてみませんか?
         また、ドイツにおけるリサイクリング状況や、ごみ処理やリサイクルの問題点を鋭く指摘しているのが<Recycling Keypoint>。リサイクルの現実をシニカルに分析しています。マスコミにはリサイクル先進国としてドイツがよく取り上げられますが、そのドイツでさえ、必ずしもすべてクリアしているのではないという問題までも提起してくれています。

        まぐるしい現代の私たちの生活は、回転する足踏み車(トレッドミル)を必死で回しているハツカネズミに似ています。私たちは、そろそろ回るハツカネズミから脱却して、自然との共生、大自然という巨大な生態系を巧みに組み込んだ、ゆとりのある生活をめざす時が来ているのではないでしょうか?