[特集]
No.39  森林破壊を抑え、資源を上手に活かすには
[写真]
『日本ウッドワーク連盟』
(「にっぽんこどものじゃんぐる」より)


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 日本の森林と木材消費の関係を見ると、木材の最大の輸入国でありながら、他方で国内の厖大な人工林が十分な手入れをされないままに放置されているという矛盾した状態にある。輸入材の中には、森林を再生不可能な形で伐採した木材も少なからず含まれている。
 こういう困った状態から方向転換し、破壊的な乱伐から得た木材の使用をなくし、他方で持続可能な形で管理された森で育てられた木材を適切な用途に使うような仕組みにしていくためには、何が必要なのか。こうした問題について、今回の特集では探ってみたい。

▼持続可能な発展と森林

 持続可能な社会経済への転換を具体化していくための大きな課題のひとつは、森林の保全と資源活用のよい組み合わせをどう実現していくかだ。つまり、地球上の森林の減少がCO2を増やし、地球温暖化の一因となっているので、森林破壊を抑え森林の再生を進めて、全体としての森林の量を増やしていく必要がある。そして一方で天然林として保護する森林を護りながら、他方で持続可能な形で管理された人工林から得られた森林資源をうまく活用することも、持続可能な経済循環をつくっていく上での重要なテーマだ。

 藤原敬さんのページに試算値が載っているように、木材は一定の容積当たりの製品の製造過程で使うエネルギーが鉄鋼やアルミニウム、コンクリートに較べてずっと少なく、環境への負荷が小さい素材であることがはっきりしている(藤原敬さん「持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋/ライフサイクルアセスメントと木材の作業部屋」)。また、樹齢100年の樹からとった材木を100年間使うといった使い方、その間に同じ樹を育てるというやり方をすれば、樹木は再生可能な資源だからだ。

 しかし、現状は、天然林の保全と人工林の持続可能な活用というよい形の組み合わせからはほど遠く、再生を考慮しない森林破壊が大規模に進んでいる。こうした現状から方向転換させ、再生が困難な森の伐採を抑え、持続可能な森林利用に近づけていくには、どうすればいいのか。そのための仕組みの工夫が重要になっている。 こうした転換を進める上で、日本列島の住民の責任はとても大きい。というのは、日本は、世界最大の木材輸入国であり、その木材の中には乱伐された木材がたくさん含まれているからだ。それだけでなく、もう一方で国内の人工林の多くは十分な手入れがされないまま放置されているという現実があるからだ。

 林野庁の「木材需給表」によると、1975年に37%だった木材の自給率(数量ベース)が1997年には20%まで下がっている。この間に国産材の生産量は、約4割減少している(総務庁統計局「日本統計年鑑/第6章農林水産業」)。
 こうした数字からもわかるように、日本の現状は、「再生困難な森の伐採の抑制+持続可能な森林利用」というあり方とは、ほど遠く、再生困難な森を伐採した木材を大量に輸入し、それが身近な森を持続可能な形で利用する意欲をそいでいる。
 こうした現状を転換していくシナリオをどうやって見いだすかが大きな問題になっている。

▼東南アジアの熱帯雨林破壊の現状

 世界の森林減少の様子は、「地球・人間環境フォーラム/森林保全と環境のページ」の中の「世界中ですすむ森林の減少」にまとめられている。これによると、1990年〜95年に世界の森林面積は5,635万ha減少した。大きな減少が起きているのは、熱帯南米(2,323万ha)、熱帯アフリカ(1,848万ha)、熱帯アジア(1,528万ha)など熱帯地域である。

 地球温暖化の問題との関連でこうした熱帯雨林の破壊がマスメディアでもとりあげられることが多くなっているが、熱帯雨林の破壊が進む具体的な過程についてはあまり伝えられていない。森林破壊がどのような状況の下で進んできたのかを具体的に理解しないと、破壊を抑えるには何が有効かが明らかにならない。

 熱帯雨林のうち日本とも関わりの深い、東南アジアの森林の状況については、樫尾昌秀さんが「東南アジアの森林減少の要因と進む対策」で問題点を整理してくれている。この中で、東南アジアにおける森林消失の主な原因として、(1)植民地時代以来のプランテーション型農園開発のための森林伐採、(2)人口過剰で低地から押し出された零細農民による森林伐採と畑地化、(3)道路、ダム建設など大規模国家プロジェクトによる森林消失、(4)熱帯林の生態的な特性に無知なままの熱帯林開発計画の失敗、があげられている。

 (4)について、少し詳しく見ると、東南アジア諸国では、FAO、世界銀行、アジア開発銀行などの支援を得て、森林開発計画を進めてきたが、こうした計画は熱帯林の生態的特性を十分に理解しないままに立てられ、移転された技術も熱帯林に合うものではなかったのだと言う。「ほとんどの熱帯林はデリケートで傷つきやすく」「とりわけ森林の生長を支える土壌がもろく、薄い表層土を失うと生産力が極端に落ちてしまう」といった点をよく理解しないままに、開発が進んでしまった。

そして、「WebMag33号特集/熱帯雨林/オランウータンと共生のネットワーク」でも述べたように、熱帯雨林の樹種の多様性が高いため、東南アジアで商業伐採の主な対象になるフタバガキ科の樹はまばらにしかはえていない。これを伐採し搬出するために「伐採後、残された周囲の木材の45〜74%が破壊される」という事情にあるため、熱帯雨林の商業伐採はきわめて破壊的なものになってしまう(「Rainforest Information Center/THE CAUSES of RAINFOREST DESTRUCTION」)。

▼森林伐採は先住民の生活基盤を奪う

 樫尾さんの「東南アジアの森林減少の要因と進む対策」では、東南アジアの熱帯雨林の破壊が深刻化した大きな要因として、「官僚や政治家の賄賂への抵抗感のなさ」をあげている。そのために「伐採業者の賄賂攻勢や政治家の圧力に屈して森林をボロボロにさせてしまった」のだという。こうした官僚組織のあり方とも関連する、熱帯雨林の伐採の大きな問題のひとつは、それが多くの場合、森林の生態系を破壊することによって、森の民の生活基盤を奪ってしまうということである。

 たとえば、マレーシアのサラワク州での森林伐採に反対する先住民の運動については、「サラワク・キャンペイン委員会」が、状況の報告と支援を続けている。また、サラワク先住民を支援するいくつかのNGOがつくっているサイト「Rengah Sarawak」にある「Land is our life: indigenous peoples of Sarawak」には、先住民(焼畑農耕民や狩猟民)の土地に対する慣習的な権利を空洞化する形での立法や法運用をマレーシア政府が行っている様子が書かれている。政府の立法や法運用は、先住民の慣習的な権利を狭く限定し、先住民の土地の森林を伐採する業者たちを助けるものになっている。

 マレーシア政府は、森林が伐採されてプランテーションの農園ができた方が、先住民の雇用機会もできて、生活の向上につながると主張しているようだ。それに対して、先住民の多くは、豊かな森林が破壊され、それに支えられた生活が成り立たなくなることに反対し、伐採用の道路の封鎖などの抵抗闘争を行っている。

▼日本の熱帯材輸入に反対するキャンペーン

日本は最大の木材輸入国であり、熱帯材の輸入量も一番多いため、日本列島の住民は、こうした熱帯雨林の破壊に対して大きな責任があるし、破壊を抑えるために大きな役割を果たしうる。そうした視点からNGOの熱帯林行動ネットワーク(JATAN)は、熱帯林の破壊の状況を明らかにし、それと日本の木材輸入や木材消費との関連を整理し、日本の政府、企業、市民が熱帯林の保全のために何ができるかを訴える活動を続けている。

 「JATANの活動の背景」にあるように、1998年の日本の熱帯材の丸太輸入は世界全体の輸入の24%を占めている。そして、輸入された熱帯材は主に合板に加工され、ビル建設用のコンクリートの型枠や低価格な家具の素材といったように、使い捨て的な用途にあてられている。他の素材でもいいのに価格が安いために熱帯材が使われている訳で、熱帯林の破壊によって何が起きているかを訴えていくことにより、替わりの素材に切り替えうる余地は大きい。海外では、市民団体のキャンペーンの結果、熱帯材の不使用条例を制定した自治体が多数あるが、日本では自治体での取り組みも遅々としている(「日本が熱帯林とそこに住む先住民の生活・文化を破壊している!!」)。

 では、熱帯雨林の破壊に対する日本政府の立場はどうかというと、日本は東南アジア諸国に工業製品を大量に輸出し、その見返りに相手国政府から第1次産品の輸入を求められるため、森林開発に協力してきた。そのため、上で述べたように、熱帯林での商業伐採が森林の生態系に対して破壊的であり、森の民の生活基盤を奪うものであることが明かになってきても、そうした点にはなるべく知らぬ振りをしてきた。

 そのため、JATANやサラワク・キャンペイン委員会は、日本の市民に熱帯雨林の破壊の重大さを訴えるとともに、日本政府や大手商社の行動が熱帯雨林の破壊を促進していることを明かにする緻密な英文資料を作成し海外のNGOやメディアに伝えるという方法を重視した。やがて、日本の大手商社などが熱帯雨林の破壊の元凶として、国際的なNGOやメディアの標的になるという現象が起きた(「JATANの10年を振り返って」)。これは、熱帯材についての日本の企業の行動を見直させる効果があったと考えられる。

▼熱帯雨林での持続可能な資源利用

 熱帯雨林のフタバガキ科の樹種を伐採した後、植林をして育成する技術はまだ実験的な段階にあるようなので、環境破壊を避けるためには熱帯材は輸入してはいけない材だと言える。また、熱帯雨林を伐採した後に行われているプランテーション型の農業も土壌劣化がおきやすく長続きしないと言われている。では、熱帯での持続性のある森林資源の利用や農業とはどのようなものなのだろうか。

 樫尾さんは、熱帯林の持続的な森林利用として期待されているアグロフォレストリーについて、「一つの土地から林産物も、農作物も、さらには畜産物や水産物も収穫しようとする、複合的土地利用の一形態」だと説明している(「東南アジアの森林減少の要因と進む対策/アグロフォレストリー」)。この考え方は、熱帯林の生態的な特性である生物多様性を最大限に活かして、多種多様な林産物、農産物を収穫しようというもので、モノカルチャー型のプランテーションとは対照的である。熱帯雨林での伝統的な焼畑経営も、アグロフォレストリーの一形態として位置づけられると言う。

 また、「JBNニュースレター Vol2 No8〜森をつくる営みが農業である」には、日本からの移民が、アマゾンで、30年以上、農業の試行錯誤をくり返した結果、「森を切り開くのではなく、森をつくる営みのなかで生かされるのが農業」という考え方に辿り着き、現在の森林農業を営むにいたった経緯が報告されている。この日系移民が辿り着いた農法は、結果的に、かつてアマゾンの地で行われた先住民の農法を模倣したものであったそうだ。この森林農業は、アグロフォレストリーであり、森の暮らしの中で先住民が長年培ってきたものである。伝統的な先住民の暮らしに学びながら、熱帯雨林の持続的な利用に取り組むことで、森林の大規模な破壊を抑える見通しが開けそうだ。

▼型枠用熱帯材の使用を減らす建設業界

 熱帯林行動ネットワークや国際的なNGOが熱帯雨林の破壊の重大さを訴えるキャンペーンを行った結果、熱帯材に関わる日本の大企業も、この問題にきちんと対処しないとイメージ・ダウンを避けられなくなった。

 建設業界では、大手建設会社80社が加盟する建築業協会(BCS)で、1992年に「5年以内に、現在の型枠用熱帯材の消費量を35%以上削減する」という目標を定め、そのうちの16社は、目標値には届かないにしても、98年には24.3%の削減を実現している(「ゼネコンの熱帯材消費削減、その後」)。

 型枠とは、ビルを建てる際にコンクリートを流し込む型で、日本では、熱帯材から作った合板が多く用いられている。型枠に熱帯材を使用する理由は、単にコストが低いというだけであり、代替品を使用することは可能である。そのため、建設会社では、熱帯材を代替品に替える努力が始まった。

 98年以降、建設会社の熱帯材消費削減は、各社での独自の取組みに任されているということだが、例えば、大林組では、代替率が98年度には38.9%に達するという実績をあげている。(「大林組の取り組み」、「熱帯林の減少 『型枠用熱帯材』代替について」)。
 こうした対策が世界の森林破壊を防ぐために抜本的な効果があるか検討が必要だが、環境問題に対処せずに、企業イメージが低下し、株式市場の評価が下がることを企業が恐れるようになっていることは間違いない。

▼ロシア極東地域のタイガの乱伐

 建設会社が型枠に代替品を使うように、他の業種でも、熱帯材の消費を減らし、替わりに他の場所で伐採された木材を使用するところが増えている。しかし、替わりの木材も、破壊的な乱伐によって得られたものであれば、やはり地球上の森林を減らすことになる。
 例えば、ロシア極東地域では、タイガの原生林の乱伐が進んでいて、大部分が日本に輸出されている。そのすさまじい様子を野口栄一郎さんが報告している(「見逃せなくなってくる、ロシア極東タイガ破壊の現状」)。
 タイガは、エゾマツ、カラマツなどからなる森林で、地域によってはトラ、ヒョウなどを頂点とする豊かな生態系がつくられている。ところが、アクセスがよい河川沿いの上流の森で伐採が行われ、水量が減りサケの遡上が減少するといった問題を先住民が訴えている。
 伐採には、ブルドーザーで一面木をなぎ倒し、売れそうな木材だけ運ぶという最も安価で持続可能とはほど遠い方法が用いられ、伐採跡地から火災が発生するという二次災害まで起きている。シベリアの原生林は永久凍土の上に広がり気温の上昇を防いでいるため、一旦、森林が破壊されると、この凍土が氷解する恐れがある。
 ところがこうした乱伐による木材を使用した針葉樹合板を製造する日本のメーカーが、「ロシア産木材を使った製品は熱帯材を使った製品と違って環境にやさしい」という宣伝をしている場合があり、地方自治体にも、環境に配慮して熱帯材の合板を針葉樹合板に切り替えるところがあるという。

 このような例からも、熱帯材の使用は熱帯雨林の破壊につながるというキャンペーンだけでは不十分で、破壊的な乱伐を行っている地域についての情報を共有し、そうした木材の使用を抑える仕組みをつくっていかなければならないことがわかる。
 しかし、こうした破壊的な森林伐採を行っている地域のブラック・リストを作ったとしても、市場で流通する材について、どの材がブラック・リストに該当するものかを識別するのは困難だ。そこで、こうした破壊的な森林伐採に対する監視を行いながら、同時に、生態系の保全に配慮し、持続可能な森林管理を行っている森林に認証を与え、そこから得られた木材に認証のマークをつけるという制度が工夫されるようになった。

▼FSCの森林認証制度

 「持続可能な森林管理の基準・指標の策定」に書かれているように、1992年のブラジルの国連環境開発会議で「持続可能な森林管理」の重要性が確認されて以来、持続可能な森林管理の基準づくりについて政府間の協議がさまざまな形で行われているが、共通の評価基準の大枠についての整理にとどまっているようだ。そうした中で、NGOが主導して関係する主体の協議の場をつくり、個々の森林に認証を与え認証マークを貼る仕組みをつくりだしたのが、FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)だ。

 1993年、カナダで、環境団体、林業者、木材取得企業、先住民団体、地域林業組合、林産物認証機関など異なったグループが集まって、非営利の会員組織、FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)が設立され、適切に管理された森林を審査・認証していく「森林認証制度」が始まった。FSCでは、認証のための原則を設けているが、その中には「原則 3:先住民の権利(法的、慣習的権利)」「原則 4:地域社会との関係と労働者の権利」「原則 5:森林のもたらす便益」「原則 6:環境(生物多様性、水資源、土壌、景観)への影響」「原則 7:管理計画」「原則9:保護価値の高い森林の保存」「原則10:植林」といった原則が含まれる(「森林管理のための原則と基準」)。

 実際に森林を認証するのは、FSCではなく、FSCにより認定された認証機関が、FSCの原則、ガイドラインに基づいて具体的な基準をつくって認証を行う。現在、世界には、7つの認証機関がある。

 このFSCの基準を満たし認証された森林から伐採された木材や木材製品には、FSCのロゴマークがつけられる。消費者は、このマークを通じ、木材・木材製品が社会・環境面で国際的に合意された原則と基準に従って管理されている森林から生産されたものであることを確認でき、このロゴマークの付いたものを選ぶことにより、適切な森林管理を行っている林業者を支援し、世界の森林保全へ貢献することになる(「WWFJAPAN/森林保護事業」)。

 現在、FSCのシステムで認証された森林は、世界30カ国、計1,800万ヘクタールを超えたが、国によってばらつきがあり、北欧やイギリスは認証された森林が多く、ドイツなどでは、まだ少ない。認証制度が広く普及している北欧などでは、木材製品を使用する企業が敏感に反応し、適切に管理された森林からの木材を選ぶ方針を発表したりしている。例えば、北欧家具メーカーとして知られているIKEA社では、原生林からの木材製品の使用をやめ、FSC認証のあるものや、それに準ずる木材を使うことにしたそうだ。また、スウェーデンの出版業界でも、読者の環境への関心の高まりを考慮して、 FSC認証の紙を要求している。このように、森林認証制度の考え方が普及している地域では、企業が、FSCを製品購入の基準として重視し、環境問題に取り組んでいることをアピールしている。消費者と企業の環境意識を刺激し、行動を変えさせるという効果が、森林認証制度にはある(「WWF Japan/森林保護事業/トピックス」)。

▼国内初のFSC認証取得

 日本での森林認証制度の取り組みは遅れており、今年、三重県の速水林業が国内で初めて、FSC認証を取得した。日本での森林認証にあたっては、国内に認証機関がないため、海外の認証機関のメンバーを呼び、育林、森林生態などの分野の日本人専門家とチームを組んで行われた。

 日本人の専門家が加わるのは、国際的なFSCの基準を、地元の関係者と協議した上で、より現地に適合するよう細かい修正をするという目的があり、今回は日本の組織が事務局となった。このチームが、日本の法律や、林業の制度を検討し、認証基準を設定した後、速水林業の森林を「適切に管理された森林」として認証した。速水林業の森林は、ヒノキの人口林に広葉樹の天然林が約一割混ざって生物多様性が維持されていること、従業員の労働環境への配慮、従業員の環境意識の高さなどが評価されたようだ。(「速水林業の認証」)。

 「WWFジャパン プレスリース〜FSCの森林認証取得、国内第一号誕生!」によると、日本におけるFSC認証制度の今後の広がりに世界中が注目している。日本は、世界でも最大の木材輸入国でありながら、木材資源が豊富な国内の人工林には、手入れもされず放置されている所も多い。FSC認証制度の考え方が日本に浸透すれば、こうした現状を変えて、熱帯雨林や原生林を乱伐した材の輸入を抑え、日本国内を始め持続可能な森林から得られた材木が主に流通するようにする効果があるからだ。

 しかし、FSC認証制度が日本に浸透しうるかどうか、予断を許さない段階だ。まだ日本には認証機関ができていないし、FSCの原則やガイドラインの下で日本の森林を認証する基準をどのような形で具体化していくのがいいか、議論がはじまったばかりだからだ。また、森林認証を取得するにはかなりの費用がかかるため、どれ位の林業経営者がこの費用負担をできるかという問題もある。

▼日本での持続可能な森林管理への途

 FSC認証制度が、日本にうまく浸透するかどうかはまだ何とも言えないが、日本の森林管理を持続可能な方向に転換していくためのひとつの重要な指針となることは確かだ。
 そして、FSCの基準を充たすような持続可能な森林管理を実現することは、林業経営を活性化するための有効な戦略のひとつになりつつあると思われる。つまり、国内の木材や森林の産品の販路をつくるためにも、森林に親しみ、森林を共に育てる気持ちを共有する人たちの森林ファン・クラブをつくっていくというシナリオが考えられるが、そのためには、生物多様性に富み、景観も美しい森にしていくことが不可欠だからだ。

 また、林業の衰退の主な原因のひとつに若い人が林業の仕事に入ってこなくなってしまい、林業従事者の高齢化が進んでいるという問題がある。しかし、最近は、長野県などではIターン希望者が林業の仕事に就くケースが増えてきている。そして、林業をIターン希望者たちがやりがいを感じる仕事にするためにも、持続可能な森林管理の基準を充たす生きた森であることが必要になるからだ。
 そして、林業と消費者が連携しあって身近な森林資源を活用しようという動きは、さまざまな形で具体化しつつある。「東京の木で家を造る会」のように、林業家、製材所、工務店、設計事務所、建主が集まって、再生可能な国産材で家づくりをめざす団体もある。この会では、会員は、ただ家を建てるだけではなく、森林に入って、下草刈りを手伝ったり間伐の手伝いをして、森と木に親しむプロセスを経験できる仕組みになっている。

 熱帯林の保護活動を支援する団体から、間伐材を有効に使う方法が提案されたケースもある。コスタリカやタイの熱帯林保護活動を支援するグループ「にっぽんこどものじゃんぐる」の提案がきっかけとなり、全国各地の木工業者が集まって、国産材で作った学校用の机・いすを全国に普及する取り組みが始まった(「日本ウッドワーク連盟」)。

 熱帯雨林破壊に危機感を持つ人たちと、日本の荒廃しつつある山村を何とかしたいという人たちが、共鳴して誕生した「日本ウッドワーク連盟」の活動は、乱伐された森林の木材消費から脱却して、持続可能な森林で育てられた木材の活用へ変えようという流れのひとつと言っていいだろう。

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