[Web Travelers]
[写真] 橋本大也
 なんだかとても忙しい。今月から、Dragonfield株式会社のGamer'sView編集長になりました。国内最大規模の、ゲームを中心に大人も読んで楽しめるデジタルエンタテイメント情報誌です。特に海外PCネットワークゲーム記事に力を入れて編集しています。まだ私が編集長になる前のWebサイト内容で大幅リニューアル中ですがもし関心のある方は、(http://www.gamev.com/)で読者登録してみてください。購読無料です。


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インターネットで読書する話と投げ銭する話

ンターネットでは無料でいろんなものが手に入るようになりましたが、あまり知られていないお得な無料モノとして、古典的な小説やエッセイがあります。著作権は著者の没後50年で無効になるので、日本や海外の古典文学作品の多くがボランティアの手によってデジタル化されて、オンラインで入手できるわけです。

ずはインターネット図書館「青空文庫」をのぞいてみましょう。 芥川龍之介や宮沢賢治、森鴎外らの古典作品が多数公開されており、自由にダウンロードできます。ちょっと古典を読みたくなったときには、わざわざ本屋で文庫本を探さなくとも、オンラインで読めてしまうのは魅力ですね。

<インターネット図書館 青空文庫>
 青空文庫には、「著作権の消滅した作家名一覧」という大きなリストもあります。
 ボランティアの入力作業ワーカー=工作員も募集しています。好きな作家がリストにあって、もしもデジタル化されていなければ、入力ボランティアに志願してみるのも良いかもしれません。なぜなら、デジタルテキスト化された文章は、目の不自由な方でも音声読み上げソフトで聞くことができる形式だからです。

<日本文学 E-Text全集>
 E-Text全集は古典作品が電子メールで毎週送られてくるサービスです。インターネットの本屋さん「まぐまぐ」の開発者である深水英一郎さんが運営しているサービスです。これを購読していれば、日本文学に強くなれること請け合いです。

<プロジェクト・グーテンベルク>
 青空文庫には海外文学の古典の邦訳も小数含まれていますが英語の原文にチャレンジしてみたいという勉強熱心な方もいらっしゃるかもしれません。そういう方には、プロジェクト・グーテンベルクがおすすめです。世界の英語文学が多数フルテキストで収録されているのです。

<Oxford Text Archive>
 更に英語以外でもわかるというインターナショナルな読書家には40以上の言語の文学がフルテキストで収録されているOxford Text Archiveがおすすめです。

て、こうして入手できるテキストファイルは大変ありがたいものですが、これってブラウザやテキストエディタで開くと読みにくいですよね。印刷してもなんだか不恰好です。そこで、こういう長いデジタルテキスト作品を読みやすく表示してくれるソフトがあります。

<T-time>
 エキスパンドブックというソフトがそれです。開発元のボイジャー社は過去にもエキスパンドブックという同種のデジタルテキストレイアウトソフトを販売していましたが、それをインターネット対応させて洗練させたのがT-Timeなのです。入手したテキストを書籍のように段組レイアウトしたり、縦書きにしたりすることが実に簡単にできます。このソフトを使ってレイアウトしたテキストは印刷しても美しいのです。
 長い文学作品はディスプレイで読んでいると目がちかちかしてきます。せっかくのペーパーレスの為のデジタルテキストではあるのですが、印刷してしまうのもひとつの手ですね。
 これで古典はバッチリです。しかし、インターネット上では無数の現代のテキストたちがひしめいています。この中にはひょっとすると未来の古典が含まれているかもしれません。そのうち、文学賞を受賞する作品の中には「この作品は当初、インターネットのホームページで連載されました」という説明がつくケースがでてくるのではないかと思います。

、賛同人として、応援しているプロジェクトのひとつに「投げ銭プロジェクト」があります。投げ銭プロジェクトとは、学術出版社のひつじ書房社長の松本功さんが提案して、賛同者が集まり、動き始めた草の根からの決済システム構築プロジェクトです。<ひつじ書房>は「書評ホームページ」という書籍の書評を集めた人気サイトを運営していますからご存知の方もいらっしゃるかもしれません。上述の、T-Timeの解説本を出版していたりもします。

ームページに「投げ銭ボタン」を取りつけ、読者が面白かったらボタンを押すと少額の金額が、読者の口座から作者の口座へ振り込まれるという仕組みです。

 個人ホームページの面白さは今も昔も、インターネットの醍醐味ですが、個人サイトの運営というのは大変不安定なものです。仕事や学業の合間にボランティアで文章を書いたり、デザインしたりしています。アクセスが増えれば増えるほど、問い合わせも多くなりますし、サーバの維持費もかかるようになってしまいます。人気のある充実した個人サイトの作者ほど、大変な苦労をしているのです。

 読者からすると、そんな苦労の成果に対して、活動継続の応援の意味を込めて100円くらい寄付してもいいかな、と思うこともあるはずです。その100円が重要なのです。1ヶ月で1万人に読まれているページで10%に当たる1千人が、1ヶ月に100円寄付してくれれば、作者は月に10万円の収益があがります。もちろん、投げ銭ですからユーザが面白くなければ払わなくて構いません。

10万円あれば、ホームページを作る為の資料購入に当てたり、取材費用に使ったり、サーバをアップグレードするために効果的に使えるはずです。ストリートミュージシャンのギターケースに投げ入れられるコインのように、インターネットでも投げ銭が気軽にできたらいいのにな、そういう願いから<投げ銭システム準備委員会>は結成されました。

 先日、東京・飯田橋にあるシニアワーク東京で、「投げ銭システムをすべてのホームページへ」決起集会+ワークショップが開催されました。当日の様子はアスキーさんが報道レポートしてくれましたので、<投げ銭で知の交流を−−“投げ銭システムをすべてのホームページへ”決起集会開催>をお読み下さい。
 当日は私も賛同人としてスピーカーをつとめさせていただきました。4時間に及ぶ長時間の会合にも関わらず、終始、参加者からは質問と意見が寄せられて、はっきりいってかなり盛り上がりました。マスコミ関係者や、決済システム関係者、プロ・アマのライターなど、デジタルテキストに強い関心を寄せる人たちが多数参加してくださいました。ひょっとするとここから何か新しいことが生まれるんじゃないか、そんな予感をさせる会合でした。

 投げ銭プロジェクトはこれから実証実験段階へ入ります。賛同人の中からテキストを集めて、実際に投げ銭の対象にしてみようではないか、という試みです。決済には、サン電子さんのSpisNetさんにご協力頂く予定です。
 こうして、未来の古典をインターネットから生み出せる仕組みはできないかと模索しているのです。インターネットで読書し、面白ければ投げ銭し、読者が作者を支えながら、面白い未来の古典が作り上げられていくとしたら文学の歴史に新しい出版スタイルが確立できるかもしれません。
 興味のある方はぜひ推進準備委員会のページをご覧下さい。



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