[Web Travelers]
[写真] 橋本大也
最近、大学の後輩でもあり、友人で職業ネットエバンジェリストの松山太河氏Netryというプロジェクトにボードメンバーとしてひきずりこまれました。インターネットで充実したWebサイトを分類するWebページを作るプロジェクトです。この運営集団を e2ndと言います。e2nd各メンバーの肩書きは秘密らしいのですが、かなりディープなバリバリ業界人集団です。内部メーリングリストでは、夜行性の人種が多いのと海外居住者が参加しているため、 24時間ひっきりなしにネット関連の話題がメールで飛んできて、読んでると眠れません。
松山さん、眠らせてくださいっていうか、あなたも寝ましょう。


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alt.OS 〜 OS戦争は終わっていない

つて、マイクロソフトのOSとアップル社のOSがOSシェアの主導権を争っていた時代がありました。暗号のような操作コマンドをキーボードから打ちこむマイクロソフトのDOSに対して、アップル社のMacOSはビジュアルなアイコンをマウスでクリックするだけの簡単操作で人気を誇りました。しかし、マイクロソフトも同じようにウィンドウ形式のマルチ画面とアイコン操作主体のOS、Windowsを発表し、1995年秋のWindows95の登場と同時に圧倒的な普及、デスクトップOSの事実上の標準の地位を確立しました。

スクトップPCではなく、企業や大学で使われているサーバ分野でも、同時にシェア争いは起きていました。歴史のあるUNIXサーバに対して、マイクロソフトはWindowsスタイルのサーバOS、WindowsNTで挑戦しました。こちらの分野でもマイクロソフトはかなりの成功を収めましたが、北欧の一人の青年が開発したLinuxという無償提供のOSによって、苦しめられています。そして、このLinuxはデスクトップOSとしても使われるよう開発が着々と進めれているのです。

OS戦争と言えば、昔はWindows対Mac、今はWindows対Linuxといった印象があるのですが、世界を見渡すと、数百種類ものOSが存在していることに気がつきます。
デスクトップOS、サーバOS、組み込みOS(電話や炊飯器にもOSがあります)、学習用OSなど、用途もさまざまです。開発者も企業や大学、一般個人などいろいろです。メジャーなOSたちに隠れながらも、各分野で次世代標準OSの夢を見ているOSたちを今週は紹介していきたいと思います。

■<B-right/V>

B-right/VはTRON系のOSです。トロン( TRON : The Real-time Operating system Nucleus )は理想的なコンピュータアーキテクチャの構築を目的として、 1984年に東京大学の坂村健博士によって開始された日本発のプロジェクトです。インテリジェントなPCや家電などの機器がネットワークに接続され高度に協調動作する「超機能分散システム( HFDS : Highly Functionally Distributed System )」の実現を最終ゴールにしています。

TRON PROJECTオフィシャルサイト

TRON提唱者の東京大学坂村博士の研究室

学協同で進められているこのプロジェクトでは、組み込み機器用のITRON、高性能リアルタイムOSをJAVAで実現するJTRON、人間=マシンインターフェースに重心を置いて理想的なOSを作るBTRON、ネットワーク上での情報処理に向いたリアルタイムOSのCTRONなどのサブプロジェクトが進行しています。

の中でBTRONプロジェクトが設計したOS仕様書をベースに開発・製品化されたのがパーソナルメディア社がリリースしているB-right/Vです。15,000円で上記のサイトから通信販売で購入することもできます。OSの核となるカーネルを小さな機能モジュールの通信によって動作させるマイクロカーネル方式、WindowsOSのOLE、MacOSのOpenDocにあたる「仮身」システムなど内部設計的にも見る部分が多いですが、アプリケーションは少ないので実用性はまだまだかな。

BeOS

BeOSは本来はPowerPCマルチプロセッサの専用マシンBeBox向けに開発されたOSです。その後PowerPC用としてリリースされましたが、現在ではIntelプラットフォーム、いわゆるDos/Vパソコンでも使えるようになりました。マルチメディア処理に強いOSです。

ーザはWindowsやMac、Linuxには遠く及ばないものの熱心なファンが存在していてフリーソフトやシェアウェアが充実しています。OS自体は9800円程度で購入できますし、ソフトの入手情報さえ揃えれば、実用性もあるOSです。マイクロカーネル、マルチプロセッサ、プリエンプティブマルチタスク、メモリ保護、高度なマルチスレッド化など設計も現代的な仕様。

使い勝手はどうかというとWindowsとMacを足した印象です。どちらからでも乗りかえることはできるでしょう。無論、ブラウザやメールソフトもありますからインターネットも接続できます。

■<Freedows>

界の技術者がボランティアベースでソフトウェアを開発し、ソフトやソースコードも無料で公開して他の開発者やユーザが改造できるようにする開発スタイルをオープンソーススタイルと言いますが、このFreedowsプロジェクトではなんとマイクロソフトのWindowsとも互換性のあるフリーOSをオープンソース開発で作ろうと言う野心的な挑戦を行っています。中心思想はスタンフォード大学で研究されているCache Kernelデザイン。これによって他のOSのソフトウェアもFreedows上で動かせるようにするというエミュレータの考え方です。

9カ国後で作成された上記のオフィシャルサイトでは、Freedowsの中心テクノロジーFreedows Emulation Application Kernels(FEAKS)はWebブラウザのプラグインのようなものと考えて欲しいと述べられています。Webブラウザはプラグインを使うことでさまざまなファイルを表示できますが、FreedowsはFEAKSを使うことでさまざまなOSのアプリケーションを動かすことができる、というわけです。

1999年8月現在、まだカーネルやGUIの設計中ということで実際にファイルはダウンロードすることはできません。インフォメーションのページには、最初のバージョンはLinuxエミュレータとWindowsの一部の機能を実現できるだろう、と述べられています。将来的にはDOSやMacOSへの対応も考えているとのこと。

べてのOSのアプリケーションが動くOSなら誰もがそれを使うでしょう。設計及びメンバー募集段階とは言え、かなり野心的なプロジェクトで目が離せません。

FreeDOS

FreeDOSプロジェクトはフリーDOS互換OSを開発しています。既にβ版がダウンロード可能になっており、ちゃんと動きます。いまさらDOSか?という気がしないでもないですが、FreeDOSなら、マイクロソフトにDOSのライセンス料金を払わずにDOSを配布できるのです。

えばフロッピーディスクにDOSと画像表示プログラムと画像を収録して配布すれば、フロッピーを入れて起動してもらうだけで、フォトアルバムが順番に表示できるようなパッケージを作成できますね。

たソースコードもGNUライセンスで公開されているのでDOSを改造して新しいアイデアを盛り込んだOSに作り上げることもできます。

Plan9

ル研究所が次世代のUNIXライクなOSを研究しているのがPlan9プロジェクトです。長い長い歴史を持つ現在のUNIX OSは、非常に複雑な内部構造を持っています。本来はシンプルな設計思想だったはずなのですが、開発過程においてハードウェア要件や実際の必要を満たすため、さまざまな機能が後から付け加えられていきました。

Plan9はこれらの複雑さを解消して新しい機能的なOSを作ろうとしています。基本コンセプトは3つあります。1つ目はすべての要素をファイルとして扱うことです。Plan9OSではデバイス(キーボードやディスプレイ、プリンタやマウス)もすべてツリー上のディレクトリの中に収められ読み書き可能なファイルとして扱います。2つめは、これらのファイルが独立して分散して存在し、標準の通信方式で情報をやりとりできることです。そして3つ目はクライアントマシン上で動く各プログラム側に動的にファイルの名前空間を割り当てます。

うすることによって、すべてをひとつのファイルシステムと標準通信形式で情報交換できるようになり、どのハードディスクのどの場所にどのファイルがあるか、とか、プログラムが自分がどのマシンで動いているかなどを考える必要がなくなり、ネットワーク時代のプログラム開発がやりやすくなるはずだというわけです。

Plan9の設計を実際に実現したOSがInfernoです。以下のサイトからダウンロードすることが可能です。InferonoはWindows上でエミュレータ動作できるバージョンもあるので気軽に試すことができます。

Lucent-Inferno

Infernoには標準でWebブラウザやメールソフト、簡単なワードプロセッサや計算機がついてきますが、その他のアプリケーションはまだほとんどありません。
UNIXのコードも一切使われておらず、ゼロから書かれたプログラムなので、実用性という点では限りなくゼロに近い段階ですが、実験として今後に注目です。

おベル研究所では更にPlan9の次のプロジェクトBrazilも内部ですすめられています。

■その他:エミュレータ関連とOSに関するニュースサイト

て、最後にOSではありませんが、おまけとして、Linux上でWindowsを動かしたり、逆に Windows上でLinuxを動かすことのできるエミュレータを紹介します。

WINE

WINEはLinux上でWindowsのアプリケーションを動作させようというエミュレータです。上記のサイトからダウンロードすることができます。大型のアプリケーションは動かなかったりしますが、簡単なユーティリティー系の使い慣れたWindowsプログラムがLinuxでも動作するので便利です。

DOSEmu

ちらは古くからあるDOSエミュレータです。Linux上でDOSを動かすことができます。LinuxのコマンドラインでDOSの命令も使いたいときには重宝します。

vmware

れが今注目のLinux ←→ Windowsエミュレータです。WindowsNT上でLinuxを同時に動かし、しかも一台の上で動く二つの異なるOS間で通信することができます。
最初見たときには度肝を抜かれました。かなり安定しています。ちなみにLinux上でLinuxを動かしたり、Windows上でWindowsを動かすこともできます。

Linuxが流行しているから試したいけどハードディスクをフォーマットしたりするのが大変というときにも、Windows上で動かせるのが魅力です。

上記のサイトから試用版がダウンロードできます。

て、いろいろと最近気になった新しいOSを見てきましたが、最初に書きましたようにOSは数百もあります。いろいろなOSに関するニュースを知りたい好奇心旺盛な方は、アリゾナ大学のWebサーバでPatrick Bridges氏が公開しているOSに関するリソースガイドがおすすめです。これは私が知る限り、Web上でOSに関してまとめた世界最大のリンク集です。

Current Operating Systems Projects and OS-related research



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今回アクセスしたページ
  • Netry
    (http://www.netry.com/)
  • TRON Web
    (http://tronweb.super-nova.co.jp/tronlogo.html)
  • Plan9
    (http://plan9.bell-labs.com/plan9/index.html)