[Web Travelers]
[写真] 金子伸二
 なぜかお盆のど真ん中に引っ越しをする羽目になり、いまはその準備の真っ最中です。現在の場所に住んでわずか2年あまりなのですが、その間にもいろいろと荷物が増え、その整理に頭を悩めています。ものは試しに、置き場所を取っていたパソコンソフトの箱から、マニュアルやディスクを出して一つにまとめたら、ずっと小さい場所で済んですっきりしました。なんかソフトの箱って、高い値段を納得させるために無駄に大きくしているような気がならないんですよね。


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検索の閑人―8億ページのガイドさん―

 日新聞で読んだ記事によると、インターネットのWebページの総数が、今年2月の時点で8億ページに上っていることがわかったのだそうです。8億ページとは、いったいどれくらいの量でしょうか。単純にページ数だけで比較すると、よく知られている国語辞典の『広辞苑』1冊が約3千ページですから、8億ページは『広辞苑』26万冊分ということになります。東京23区それぞれの区立中央図書館の蔵書数がだいたい20〜30万冊なので、図書館の隅から隅まで、びっしり『広辞苑』が詰まった状態を想像すると、8億ページというものの量がぼんやりと感じられてきます。もちろん、そこで扱われている情報の質と量は単純比較できるものではないのですが、それにしても大変な数であることに間違いはありません。
 億ページの中から自分が必要とする情報を探し出そうとするのは、かのインドで人を尋ねて歩くようなもので、気の遠くなるような作業だといえます(今のインドの人口は9億5千万人くらいのようですが)。こうした作業を効率的に行うために作られた「検索エンジン」というツールは、もちろん大変に便利なものですが、同じ調査によると、代表的な11の検索エンジンを使っても、それで検索できる範囲はWebページ全体の42%にとどまっていたそうです。つまり、図書館に26万冊の蔵書があっても、そのうち蔵書目録に載せられて利用できるのは11万冊にすぎす、残りの15万冊は未整理のまま積み上げられているような状態であるといえるでしょう。
 えて、図書館であれば本の量や在り処を感覚的につかむことがある程度できますし、古い本だからといって捨てられてしまうことはなく保管されているわけですが、Webの場合はその全体像を直感的に捉えることなど不可能で、しかも時々刻々と変化しているのですから、Web上で目的の情報を探すには、図書館に司書が不可欠なように、すぐれたガイド役がぜひとも必要になってきます。今回はそうした、Web上で仕事や勉強の調べものをする際に強い味方となってくれる、いわば「Web調査のガイドさん」とでも言えるようなサイトをいくつかご紹介します。検索エンジンではなかなかたどり着けないような秘境へも、きっと連れていってくれるはずですよ。

東京大学附属図書館マルチメディア広報
 まず、いきなり「東大」です。「トーダイ」と聞くだけでなんとなく「エラそー」かつ「カタそー」な感じがしてしまいますが、でも国立大学ですからね、税金で賄っているわけですから、使えるものは大いに利用させてもらいましょう。ここのインターネット・リソースのページには、勉強や研究のための調査に役立つ定番サイトがジャンル別に整理されています。手始めにこうしたところで調査に使えそうなサイトを押さえておくと、闇雲に検索エンジンで探すよりは効率のいい調査がおこなえるでしょう。また、インターネット学術情報インデックス(試行版)は、インターネット上の膨大なサイトの中から、教育や研究に役立つサイトを検索できるようにしたデータベースです。今年の3月の時点で国内外合わせて1000件のサイトが登録されていて、サイトのタイトルやテーマ、作成者などをキーワードとして検索できるようなっています。「試行版」ということですので、今後の拡充が期待されます。

富山大学附属図書館
 これは主に富山大学の学生さんや教職員の方を対象としたサイトですが、ここの外部ネットワーク情報資源案内は、インターネット上での調査のやり方を丁寧に説明していて、一般の人にとっても役に立つ内容となっています。とりわけ、分野別探索で調べるというページでは、様々なジャンルの情報源が網羅され、また各サイトへのリンクには短い紹介コメントが添えられていて助かります。数多くのサイトを1ページで取り上げるのは雑多な感もありますが、むしろこのページの場合は、いろいろなジャンルの情報源を一覧できることの面白さ、「こんなものがあるのか」という発見ができる良さがあると思います。分類・整理された情報というのは確かに便利なのですが、あまり細かく分けると却って他の人には使いにくいものになってしまうのかもしれません。

実践女子大学図書館
 さて、女子大です。Web上ですから、部外者も、もちろん男性でも入ることができます。といって、油断してかかってはいけません。ここの学外サーバへのリンクは、件数こそ決して多くないものの、代表的な情報源が押さえられ、よくまとめられていて、使いやすいものになっています。また、図書・雑誌探索ページは、国内外の文献情報を主としたリンク集ですが、海外の文献事情は専門家でないとなかなかよくわからないだけに、貴重です。さらに、インターネットで文献探索 1999/増補改訂版は、この図書館から刊行された本の紹介であると同時に、同書のオンライン版でもあり、インターネットでの文献検索で注意すべき点について、わかりやすい説明と役に立つリンク集が付いています。全体的にこの図書館のWebページは充実していて、実際の調査に役立つよう、大学の名のとおり「実践」的に作られている点が評価されます。

東京情報大学総合情報センター
 こちらは、1988年に開設されたまだ新しい大学の図書館です。ページの感じも「明るいキャンパス・ライフ」を絵に描いたようで、なんだか楽しそうです。ここの学外の情報リソースも、要するに各種情報源へのジャンル別リンク集なのですが、大学なのに「芸能・スポーツ」のコーナーがあったりして、仕事やお勉強以外にも使えそうです。もちろん、情報源へのリンク集として全体的に充実した内容を持っています。

Welcome to the Underground Theatre!
 ここまでは大学図書館という組織によるページでしたが、これは東京大学の大学院生・沖公祐さんの個人ページです。この中のResearch Assistantは、インターネット上の調査・研究に役立つサイトを集めたページとして有名な存在です。取り扱われているサイトは人文・社会科学系が中心で、その数も多くはないのですが、重要なものが厳選されています。各サイトには、簡潔で的確な紹介コメントが添えられているのも助かります。また、猿でもできる研究のためのインターネット入門は、インターネット上での調査のポイントが調べる側のレベルに応じて解説されているので、ぜひ一度目を通しておきたいものです。

ARIADNE
 これはもう、定番中の定番。もともとは翻訳家の二木麻里さんが、仕事などを通して蓄積していった情報源についての情報を整理して、公開されたものですが、いまや個人ページの枠を超えて、インターネット上で調べものをする人にとっての貴重な財産となっています。すっきりとして清潔感あるページ・デザインと、膨大な情報を扱いながらもそれを感じさせない明快で統一された表現は、この種のページのお手本となるものでしょう。また、その時々での重要なトピックをテーマにきちんと織り込んでいるのも、エディター・シップの確かさを感じさせます。単なるリンク集ではない、これ自体が一つの知的作品ともいいうるようなサイトです。勉強になります、ホント。

 こうした頼りになるガイドさんたちが傍にいてくれれば、たとえ未知のテーマの調査でも心強いですよね。


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