[Web Travelers]
[写真] 金子伸二
 引っ越し先の建物は新築のコンクリート造なので、なにかと湿気がこもりがち。そこで、このところ売れているという除湿機を買うことになりました。実際に使ってみて、一晩で数リットルもの水が取れるのにはビックリ。これじゃ、カビも生えるわけです。あらためて「湿度」というものの存在を再認識しました。昔の人はこの湿度とうまく付き合う暮らし方を工夫してきたわけですが、今はこれを強制的に取り除くことで解決しているわけですから、この一事をとっても、生活能力が低下しつつあることは間違いないようです。


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秋のための、本探し

 ときわ暑かった今年の夏もようやく過ぎ去って、やっと、じっくり本でも読もうかという季節になりました。幸い、今回引っ越した所には、すぐ近くに区立図書館の分館があり、蔵書もなかなか充実しているので、さっそく利用の手続きをしました。おこづかいや置き場所の都合から、なかなか本も買えない身にとって、使いやすい図書館が近くにあることは実にありがたいものです。

 書館に入ると、本をいっぱい詰め込んだ棚が、たくさん並んでいます。ここで、棚の間を歩きながら、目についた面白そうな本を手にとっては開き、また棚に戻しては次の本を探すというのは、とても楽しい時間の過ごし方ですが、こうしたやり方で出会えるのは、その図書館に実際に並んでいる本に限られてしまいます。具体的に何か調べている事柄があるような場合には、その図書館に所蔵されていない本に重要なものがあるかもしれませんし、そうした本がどこに所蔵されているのかを調べる必要も出てきます。

 書館の司書の人は、このような本の探し方についてのスペシャリストなわけですが、司書に質問をするにしても、あまりに漠然とした質問では困ってしまうでしょうし、一人の利用者の質問にかかりきりになっているわけにもいかないでしょう。その前に、自分なりにインターネットで本の情報をひととおり調べておくと、司書の人とのやり取りもスムーズにいくでしょうし、何より、自分の関心や興味のありかを、よりはっきりとさせることができるようになります。
 インターネットを使って本の情報を調べる方法については、すでに「WebMag」第21号の特集本とインターネットで詳しく取り上げられていますが、その後もいろいろと新しいサービスが始められているので、そのいくつかをご紹介します。

 ず、本を調べる上で最も単純なのが、検索エンジンを使った方法です。例えばInfoNavigatorのキーワード欄に、調べたい事柄の他に、「文献」や「著作」などといった言葉を入れて、「全ての語を含む(AND)」を条件に検索すると、その事柄に何らかのかたちで関連した本の情報が含まれたページを探すことができます。検索するサイトを「教育機関(ACドメイン)」のみにすると、大学などで提供されている情報に絞り込むことも可能です。とはいえ、このやり方では、検索結果を一つ一つ開いてみないと内容がわかりませんし、本当に自分の調べたい事柄に行き着けるかどうかは運次第というのが難点です。ただ、思いもかけない本を知ることができる可能性もあるので、他の方法と組み合わせて利用すると効果的です。さらに、ここで一つの本を見つけることができれば、今度はその書名や著者名をキーワードに検索することで、さらに別の本を知る手がかりを得ることができるかもしれません。

 り手っ取り早い方法としては、図書館の蔵書データベースを調べるという方法があります。これは、検索エンジンを使っては調べられないので、それぞれのデータベースのページで操作をする必要があります。
 蔵書データベースの定番ともいえるのが、文部省学術情報センターの総合目録データベースWWW検索サービスNACSIS Webcatです。これは、全国約700の大学や教育・研究機関が所蔵している本や雑誌を、一括して検索できるようにしたものです。以前はtelnetという形態で提供されていましたが、今ではWeb上で手軽に操作ができるようになりました。タイトルの欄にキーワードを入れれば、それが書名に含まれる本がリストアップされます。さらに、それぞれの書名をクリックすると、その本の詳しい情報と、所蔵している図書館が一覧できるようになっています。キーワードの入れ方によっても結果が異なりますし、最大200件までしか表示できないので、「利用の手引き」などを参考にして、検索の条件をうまく設定することがコツになります。

 学図書館は、大学生や教職員でもないとなかなか利用する機会がありませんし、蔵書も学術的なものが中心になるので、できればより身近な公共図書館で同じような検索サービスがあると助かります。ところが、こちらの方はあまり進んでいないというのが現状です。それぞれの図書館ではWeb上での蔵書の検索サービスが徐々に始まっているのですが、いまのところ、それぞれのページで個別に検索すると段階で、Webcatのように全国の公共図書館の蔵書を一括検索するというサービスは、まだ実現されていません。
 そうした中で注目されるのが、長島雄一郎さんの制作になる全国の公共図書館等の蔵書検索というページです。これは、全国の主な公共図書館の蔵書検索ページへのいわばリンク集ですが、その他に書名による蔵書検索[擬似横断検索]というメニューがあり、これにより、書名に限ってですが、複数の図書館の蔵書を一括検索することができます。これは、このページ自体がデータベースを持つのではなく、それぞれの図書館のデータベースでの検索を代行してくれることによって実現しているものです。こうしたやり方は、長島さんが「総合目録に関するささやかな提案」の中で述べておられるように、データはそれぞれの図書館が分散して管理した方が現代的であるという考え方が土台になっています。
 現状では、それぞれの図書館のデータ形式の違いから、検索の対象となる図書館が3つのグループに分かれていますが、長島さん個人の発想と力で一括検索をとにかく実現してしまったことに、大いに感銘を受けました。
 ちなみに、このページでしばしば出てくる「OPAC」という言葉は、「Online Public Access Catalog」の略で、コンピュータによる蔵書検索のことを指しています。

 最後に、今回のイチオシは、Book Contentsというサービスです。これは、前々回にもご紹介した東京大学附属図書館マルチメディア広報の中の一メニューなのですが、これを知った時には「目からウロコ」の思いがしました。
 ここの特徴は、単に書名や著者名だけではなく、本の目次やカバー、帯などに記された情報まで検索対象に含まれているという点にあります。つまり、本の具体的な内容に踏み込んだ検索が可能になるわけですから、本を探していく上で、これまでにない強力なツールになるといえるでしょう。私もさっそくこれを使って、自分が調べているテーマについて、これまで見落としていた資料を発見することができました。現段階では、東大が所蔵する本のうち約15万冊がデータ化されているにとどまりますが、この試みがさらに展開していってほしいと思います。

 ンターネットは、ある面では本に取って代わっていく存在であると同時に、本をより活用していくための道具にもなりうるのだということを実感しました。


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