[Web Travelers]
[写真] 金子伸二
 以前から欲しかった『Eames design』という本を、先日ついにゲットしました。これは、1940年代から70年代にかけて、アメリカのデザイン界をリードしたチャールズ・イームズとレイ・イームズ夫妻の作品を集大成した本。工業デザインから映像に至るまでの、イームズ・オフィスの斬新で創造性あふれる仕事が一望できるとともに、この本自体が一つのすぐれた作品でもあるという、とにかくめちゃくちゃカッコイイ本なのです。イームズ・オフィスの仕事の一端は、EAMES OFFICEご覧ください。いやぁ、天才の仕事って、見ているだけでこちらまで頭が良くなるような気がしますね。


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名前から始まる名画の旅

 ょんなことから、ラファエロについて調べるはめになりました。ラファエロといえば、レオナルドやミケランジェロと並ぶ、イタリア・ルネッサンスを代表する大芸術家で、バチカン宮殿の壁画「アテネの学堂」を描いた人であることくらいは、まぁ、なんとなくわかります。とはいえ、ラファエロがどんな生涯を送って、他にどんな作品を遺したのかということになってくると、これはもう「???」。とりあえず、図書館に行ってみることにしました。
 ラファエロほどの人ですから、イタリア・ルネッサンスの画集や専門書には必ず登場しますし、ラファエロ個人を扱ったものもいくつかありました。そうして図書館で本を探していて気がついたことが一つ。「ラファエロ」という名前の書き方が、本によって「ラファエッロ」になったり、さらには「ラファエルロ」(しかも「ル」が「ァ」みたいに小さく書かれている)になったりと様々なんですね。外国の人名をカナ書きするのにはいろいろな表記のしかたがあるということにあらためて気がついたわけで、この点はインターネットで検索するときにも注意しなくちゃいかんなぁと思ったのでした。

 うこうするうちに、日本語で書かれた本はだいたい様子がわかったので、今度は洋書を探してみることにしました。外国語はよくわからなくても、作品の図版がたくさん載っているかもしれないし、印刷ももっと鮮明かもしれない。それになにより、洋書はふだん本屋さんの店頭でもなかなか見る機会が少ないので、図書館で見せてもらうに限ります。
 洋書を調べるには、ラファエロをアルファベットでどう書くのかということがわからなくちゃいけませんから、百科事典でラファエロの綴り(Raffaello)を調べました。そして、書名に「Raffaello」という名前が入った本を図書館のコンピュータで検索して、そのうちの何冊かを見せてもらいました。
 そうして本を見ているうちに、また気がついたことが一つ。英語の本の中を見ると、ラファエロのことを「Raffaello」ではなく「Raphael」と書いているんですね。つまり、同じ人名でも国によって綴りが違う場合があるということで、ラファエロはまさにこのケースに当てはまっていたわけです。そこでもう一度コンピュータで「Raphael」を書名検索すると、「Raffaello」では出てこなかった本がたくさん見つかりました。実際、日本語の本にも「ラファエル」と書いているものがありましたが、これは英語の本の表記をそのまま用いたものなんですね。「固有名詞なんだから綴りは一つ」という思い込みは通用しないわけで、名前というのは複雑なものだと実感して図書館を後にしたのでした。

 に戻って、インターネットでも確かめてみました。InfoNavigatorを使って「Raffaello」で検索すると206件なのが、「Raphael」では2459件。もちろん別の「Raphael」さんも含まれているのでしょうが、一つの綴りにとらわれていると肝心な情報を見落とすこともあると言えそうです。
 しかし、国による名前の綴り方の違いというのは、なかなか私たちにはよくわかりません。なにかいい解決法はないかと思っていたところ、格好のホームページがありました。
 Babynamer.comというのは、訳せば「名づけコム」とでも言うんでしょうか。そのものズバリ、赤ちゃんの名前を考えるのを手助けしてくれるホームページです。子供に名前をつける際の親の苦労というのは、洋の東西を問わないものなんですね。このページ、なんでも2万もの名前がデータベース化されていて、思いついた名前を検索すると、その名前の由来や意味を教えてくれるほか、それが各国語でどのように綴られるのかということまで示してくれます。この機能は、なにも赤ちゃんの名前を考えるためでなくても、先ほどのように人名の様々な表記を確かめるのにはうってつけのものです。名前の由来や意味がわかるのは、外国文学を読むときなどにも役立ちそうですね。
 さらに、このページの徹底したところは、一つの名前をもとに意味や音といった様々な要素でそれに類似した名前をリストアップしたり、アメリカの各州の人気名前データが年度ごとに見られたりなど、名前に関するあらゆる情報が得られるところにあります。おかしいのは、英語以外の14の言語の名前に対応しているのですが、その中に日本語が含まれていること。たしかに、例えば海外にいる日系の方で、子供に日本語の名前をつけたいというようなニーズがあるのかもしれません。私もさっそく自分の名前を調べてみて、感心するやら笑ってしまうやら、けっこう楽しめました。あなたの名前はこの中に入っているでしょうか?

 て、こうしてラファエロの英語での綴りもわかったところで、今度はWeb上で作品を眺めてみることにしました。いわゆる「ウェブ・ミュージアム」のサイトめぐりです。その代表格であるWebMuseumについては赤木さんが第5号のインターネットで楽しむ芸術の秋!?で紹介しておられるので、今回はそれ以外の実力派を訪れてみることにします。

 CGFA - Carol Gerten's Fine Art - は、アメリカのデンバーに住むCarol Jacksonさんによるウェブ・ミュージアムです。中世から20世紀に至る芸術家の作品が数多く収められていて、芸術家の名前や時代、国などから画像に至ることができます。総データ容量は650MB以上にもなるということですが、このすべての画像を、彼女が一人でスキャンしたというのですから、その根気には驚かされます。

 Mark Harden's Artchiveは、Mark Hardenさんによる美術情報サイトで、美術関係のトピックや、美術CD-ROMに対する彼の批評などが載せられていますが、中心になるのはやはり画像データベースで、200人以上の芸術家の、総数2,000点以上にのぼる作品が収められています。

 OCAIW: Orazio Centaro's Art Images on the Webは、イタリア人のカメラマンOrazio Centaroさんによるウェブ・ミュージアムです。このサイトは、自前で画像データを持つのではなく、他のサイトの画像データの在りかを集めたリンク集のようなもので、絵画だけでなく、彫刻や建築、写真のデータも収めていることが特徴です。

 の3つはいずれも個人の作業から生まれたページであるだけに、それぞれに個性を持っていて、同じラファエロについてでも、「CGFA」では画像の点数は15点と少なめですが、縮小画像から探せるので英語の作品名がわからなくてもいいという使いやすさがあります。ラファエルの生涯については、MicrosoftEncartaをベースにした解説が付けられています。
 「Artchive」も、ラファエロ作品の自前の画像は11点ですが、その他の情報については、世界最大級の美術情報サイトWorld Wide Arts Resourcesのサーチ機能に連動することで対応しています。
 「OCAIW」では、その性質上、たどれる画像の点数が極めて多く、ラファエロだけでも200点ほどの画像へリンクされています。生涯についてはEncartaにジャンプし、Amazon.comに連動して関連書籍を探せるなど、徹底したリンク志向のサイトといえます。それぞれのサイトを目的によって使い分けると、秋の夜長のウェブ・ミュージアムめぐりがさらに楽しいものなりそうです。
 なお、いずれのサイトでも画像データが豊富に使われているため、読み込みに時間がかかる場合があります。また、画像データの利用についても、各サイトに制作者の説明があるので、参照なさってください。

 論。やっぱりラファエロってすごいやつです。


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