[Web Travelers]
[写真] 金子伸二
 先日、初めて熱海を訪れました。不況のおりから企業の団体慰安旅行も減少しているようなので、ずいぶんと寂しい印象なのではないかと思っていましたが、駅前はおみやげ屋さんが軒を連ね、来訪者を一気に「国際温泉観光モード」に突入させる積年のパワーが感じられました。とはいえ、地元の人に聞いたところでは企業の保養施設が次々と閉鎖されているとのことで、こうした影響がこれからジワジワと出てくるのかもしれません。網代駅近くの和菓子屋さんでいただいた栗きんとんの味が忘れられません。


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せっかくだから、歴史に専念

 いもので、今年も終わりとなりました。べつに年末年始の時期になったからといって、毎日の生活は何も変わるわけではないのですが、さすがに2000年を迎えるとなると、ある種の感慨みたいなものが湧いてきます。もちろんこの「ミレニアム(千年紀)」というやつは西洋の暦の勝手な都合ですから、私たちが大騒ぎする義理はありませんが、しかし「2000年」や「21世紀」なんて言葉はSF小説の中でしかお目にかからないような「遠い未来」の代名詞でしたからね。現実にそれが新聞の日付やコンビニのレシートに刷られて毎日顔を合わせる状況というのは、「行き付けの牛丼屋でリッキー・マーティンがバイトしてる」みたいなもので、なんか「ミもフタもない」感じがしてしまいます。
とはいえ、せっかくこういう機会なので、千年という時の経過に思いを馳せて、日常のあわただしい時間から距離を置くのも悪くないという気がします。ということで、今回は歴史にまつわるサイトをいくつか巡ってみることにしました。

 史データベース on the Webは、吉川恵さんが第19号の今日は何の日?でも紹介されていますが、株式会社ソフトヴィジョンが自社のデータベースソフトのデモとして制作・公開している歴史データベースです。「宇宙の誕生から現在まで」という謳い文句にあるとおり、古今東西にわたる約6万6千件もの歴史情報がストックされていて、それを主題の分類や、西暦・和暦といった年代で閲覧したり、全文を対象にしたキーワード検索をすることができるようになっています。動作が比較的軽快で、なおかつ面白いのが「この日のできごと」というコーナーで、ある日付に過去どのような出来事があったのかを調べてくれるのですが、ここで自分の誕生日の出来事を調べてみたりすると、そこから歴史に対する最初の取っ掛かりが生まれてくるかもしれません。
それから「説明」ページの「お願い」のところでは、調べてもよくわからなかった疑問点が挙げられていますので、ご存知の方は知らせてあげてください。
ちなみに、私の誕生日は雑誌「平凡パンチ」が創刊された日なのだそうで、なんだか妙に納得するものがありました。

 ータベース20世紀年表は、東京大学東洋文化研究所の田中明彦先生の研究室が制作した歴史データベースです。現時点では1930年から94年までの日本と世界の情勢が収録されていますが、それで既に約13万件ものデータになっているのですから、「20世紀に関する最も詳細で使いやすい年表データベースの一つ」という自負もうなずけます。実際、例えば「コンピュータ」をキーワードにすれば、その結果でコンピュータの年表があらかたできてしまうようなほどの充実ぶりです。操作方法も複雑な手続きを排した直感的でわかりやすいものです。今後は20世紀のすべてを対象にすることを目標とされているそうなので、ぜひ頑張っていただきたいものです。文部省も、予算つけてあげてね。

 て、こうした歴史のデータをまとめようとする際に問題となるのが、時代や地域によって異なる暦の扱いです。見かけ上は同じ日付でも、暦が違えば実際には別の日なわけですから、歴史上の出来事の起きた日や、人物の生没年月日を特定しようとするような場合には、こうした暦の違いを換算していかなければなりません。suchowan's Home Pageでは、こうした各種の暦を相互変換するための情報が提供されています。これには独立したプログラムになっているものもありますが、より手軽にはWeb上での変換フォームも用意されていて、これにより、日本暦日、太陰太陽暦、グレゴリオ暦、ユリウス暦、フランス共和暦、エチオピア暦、イスラム暦、ユダヤ暦、チベット暦、タイ佛暦、バリのシャカ暦、マヤ暦、ホビット庄暦といった、ほとんど「∴☆♂◎∀」な暦どうしで日付の相互変換を行うことができるようになっています。
ちなみに、私の誕生日はチベット暦で「第16ラプチュン木男龍年、角宿月、17日」なのだそうです。う〜ん・・・・。

 ころで、「レキシ」と聞くだけで暗くてジメジメしたカビ臭い印象を持ってしまう人というのは、多分に学校での歴史の授業の影響が強く働いているのではないでしょうか。すでに決まったことを何も考えずただ丸暗記する、退屈なだけのお勉強という歴史のネガティブなイメージが、歴史を自分とはまったく関係のないもの、知ったところで何の役にも立たないものという受け取り方につながっているようです。そうした歴史のイメージに一撃を浴びせるのが、マスダ組による普及版『歴史概論』です。マスダ組とは何か、ということはホームページをご覧いただくとして、高校で習う程度の歴史も読み方によってこんなに面白くなる(笑える)のだ、ということを絶妙なページデザインの中で展開する編集センスには脱帽してしまいます。
このページを作った背景として、高校で世界史が好きだった作者が大学の史学科に進学すると、高校の教科書では事実として書かれていたことが、大学の歴史学ではそれ自体が検討の対象として研究されているという体験をしたことで、教科書の内容は真実絶対の歴史のように書かれていながら、その実「当時で一番流布している定説」でしかないという理解に至ったことが挙げられています。全3部9章を通して、現代の我々にも共通する人間の理不尽さや無分別ぶりを笑いとともに捉えていく「マスダ組的観点」には、歴史を硬直な「真実」ではなく柔軟な「解釈」として蘇生させていくセンスがあふれています。

 うした歴史関係のWebサイトは、まだまだほかにもたくさんあります。そうしたものと出会う手助けをしてくれるのが歴史HP総合検索エンジン歴史サーチです。歴史に関するホームページを、学問的なものだけに限らず、ゲームや漫画といった歴史を楽しむ情報まで含めて扱っているのが特徴で、「歴史ファンが楽しんで使える専用のサーチエンジンを!」という作者・根津けろすけさんの意図が反映されたユニークな検索エンジンとなっています。形式としては登録されたホームページを対象としたディレクトリ型で、以前「東洋史サーチ」と名乗っていたこともあり、日本史と中国史を柱とする東洋史関連のサイトが充実していますし、西洋史関係もかなりの情報量です。メールマガジンも発行しているそうなので、インターネットでの情報のやり取りに苦労している歴史好きにはありがたいサイトです。
この千年間で歴史は大きく変わりました。とはいえ、私たちは相変わらず毎日の天気に一喜一憂し、次の食事に頭を悩め、今時の若い者を嘆いているわけです。千年というのは、人類というレベルからすれば取るに足らない一瞬なのかもしれませんね。


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今回アクセスしたページ
  • 歴史サーチ
    (http://www2s.biglobe.ne.jp/~kerokero/cgi-bin/navi/index.html)